今月中旬、企業の責任で健康効果を表示できる「機能性表示食品」の販売が始まった。健康志向が高まる中、各社は脂肪や糖質の吸収を抑える機能などをアピールし、需要の掘り起こしを狙う。

企業の責任で健康効果を表示できる「機能性表示食品」の販売が今月中旬に始まった。新制度に基づき、既に37商品の届け出が消費者庁に受理され、キリンビールが16日に発売したビール風飲料などの商品が店頭に順次並ぶ予定だ。健康志向が高まる中、各社は脂肪や糖質の吸収を抑える機能などをアピールし、需要の掘り起こしを狙う。ただ、消費者団体などからは効果を疑問視する声もあり、定着に向けた課題も少なくない。

 キリンビールの「パーフェクトフリー」は機能性表示食品では初となるアルコールゼロのビール風飲料だ。缶のラベルの最上段に「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかにする」と表示し、機能を分かりやすく訴えている。店頭想定価格は、従来のビール風飲料と同じ350ミリリットル缶で147円に設定にした。

 東京都中野区の本社前で同日昼、商品を無料で配った布施孝之社長は「ビール風飲料で第1号という点をPRして支持を得たい」と意気込んだ。年内に160万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の販売を目指す。


機能性表示食品のビール風飲料「パーフェクトフリー」を無料で配り、PRするキリンビールの布施孝之社長(左)=16日、東京都中野区 アサヒグループホールディングス傘下のカルピスは、血圧が高めの人に適しているという「アミールWATER」を29日に発売する。アサヒビールは、キリン商品とほぼ同じ機能を持ったビール風飲料とサワー風飲料を23日に売り出すが、「お客さんは、やはり味を重視する」(小路明善社長)と判断し、味わいを高めることで他社商品との差異化を図ったという。

 ファンケルは、中性脂肪を減らす働きを持つ機能性表示食品のサプリメントと、目のピント調節などの働きを持つサプリを6月中に発売する。機能を分かりやすく伝えるパッケージデザインや積極的なCM展開を通じ、拡販につなげたい考えだ。

新制度は国民の健康増進を目指す政府の成長戦略の一環として4月に始まった。成分の効能といった科学的根拠を示した論文などを企業が消費者庁に提出し、受理されれば届け出から60日後に販売が可能になる。特定保健用食品(トクホ)と違って国の審査が不要のため、小規模業者でも参入しやすい。

 一方で、消費者団体などからは「科学的根拠の薄い商品もある」との指摘もあり、訴求する機能の有効性とともに、安全性の担保と誇大表示などによるトラブルをどう防ぐかが、消費者に受け入れられるための条件となりそうだ。

6月発売の主な機能性表示食品
キユーピー
•サプリメント「ヒアロモイスチャー240」
•肌の乾燥を緩和
•12日
キリンビール
•ビール風飲料「パーフェクトフリー」
•食事の際に脂肪の吸収を抑え、血糖値の上昇もおだやかに
•16日
キリンビバレッジ
•飲料「食事の生茶」
•食事の際に脂肪や糖の吸収を抑え、おなかの調子も整える
•23日
アサヒビール
•ビール風飲料とサワー風飲料「スタイルバランス」
•食事の際に糖や脂肪の吸収を抑える
•23日
カルピス
•飲料「アミールWATER」
•血圧が高めの人向け
•29日
(社名、商品、機能、発売日の順)




引用元:
機能性表示食品、市販スタート 「科学的根拠薄い」との指摘も(ITmedia ビジネスオンライン)