県は16日、病気になる手前の「未病」を治す商品を生み出す未病産業を創出する費用などを盛り込んだ総額190億300万円の6月補正予算案を発表した。開会中の県議会定例会に提出する。黒岩知事は16日の記者会見で「全庁一丸となって、スピーディーに取り組みを進めたい」と述べた。未病産業の創出で目を引くのは、黒岩知事が、2014年12月に首相官邸で開かれた有識者らによる「健康・医療戦略参与会合」で打ち出した「ME―BYOハウス・ラボ」の設置だ。

 人体から出るガスを採取し、体調を見るトイレや、音声で精神状態を把握する電話などを設置した一戸建てで被験者に生活してもらい、データを収集して分析する。15年度は5000万円を充て、16年度以降も継続する予定だ。

 県内の高度医療機関の即戦力となる看護師を養成するため、県立平塚看護専門学校を看護大学校に改編することにし、6150万円を計上。修業年限は3年から4年になり、卒業生は大卒者と同じように大学院への入学資格を取得する。

 また、老朽化する県動物保護センター(平塚市)の建て替えに向けた調査設計費として、950万円を充てる。寄付を募り、建て替えに必要な資金を積み立てる基金も創設し、1億円を積み立てる。新施設は19年度からスタートする計画で、殺処分室は設けない。

 このほか、子宮頸けいがん予防ワクチンの接種後、体の痛みなどに苦しむ患者の医療費を給付するため、3169万円を盛り込んだ。接種との因果関係が明らかでなくても、医療費の自己負担分のほか、入院と通院に対する医療手当(月額3万4000〜3万6000円)を給付する。

 今回の補正予算案で県債を82億円積み増したため、借金に頼らずに政策経費を賄えるかを示す15年度末の基礎的財政収支の見通しは、505億円の黒字に下方修正された。


引用元:
病気手前治す産業創出 県190億円補正案 神奈川県(読売新聞)