4〜5年ごとに流行を繰り返す感染症の「リンゴ病」が流行している。主に10歳未満の子どもで多く見られ、リンゴのようにほおが赤くなる症状が出る。妊婦が感染すると死産や流産の危険性があり、前回流行した2011年には全国で76件の死産・流産(疑われる例も含む)が報告されただけに、注意が必要だ。 (佐橋大)
リンゴ病の正式名称は「伝染性紅斑(こうはん)」。ウイルスのヒトパルボウイルスB19が、主に唾液を介して感染し、赤血球前駆細胞(赤血球のもとになる細胞)などに入り込んで増殖する。
東日本大震災があった一一年に比較的多くの患者が報告された後、患者が少ない年が続いたが、今年に入って急増。国立感染症研究所のまとめでは、全国の小児科医療機関のうち約三千施設から報告のあった患者数は、大型連休にあたる第十九週(五月四〜十日)を除き、四月半ば以降すべての週で一医療機関当たり〇・五人を超えた=グラフ。第二十二週(同二十五〜三十一日)には、滋賀県(医療機関当たりの感染者数二・七八人)、埼玉県(同一・八四人)、大分県(同一・六七人)などで報告が多かった=地図。
感染すると十四〜十八日でほおが赤くなり、腕や脚にも網状の発疹が現れる。発疹は一週間ほどで消える。風邪のような症状が出たり、大人は関節痛を伴うことがあったりする。「健康な人は特に治療の必要はない」と、同研究所感染症疫学センターの多屋馨子(けいこ)室長は話す。
気をつけなければならないのは妊娠中の女性。胎児にも感染することがあるからだ。ウイルスに感染し胎児の赤血球前駆細胞が壊されると重い貧血状態に陥り、過剰な水分でむくんだ状態(胎児水腫)になったり、死産や流産の原因になったりする。
妊娠前半(二十週ぐらいまで)の感染では、胎児死亡などのリスクが高まる。妊婦の他に、溶血性貧血や免疫不全の持病のある人も、症状が重くなる傾向がある。
このウイルスで厄介なのは、ほおが赤くなる前の約十日間にウイルスをまき散らすから。リンゴ病と気付く前に、知らないうちに感染を広げる危険性がある。
「保育園や幼稚園で、リンゴ病の症状が出た子がいれば、他の子も感染している可能性が高い。妊娠中の女性が園に出掛ける際には長居を避けて」と多屋室長。リンゴ病が報告された園は、保護者に適切な情報提供が必要だ。患者数が多く報告されている地域では、むやみに人混みに行くことや、子どもの集団に近づくことは避けた方がいい。
多屋室長は十四年前、自分の子どもから感染し、妊娠十四週で胎児を亡くした。「濃厚に接触する低年齢のわが子からの感染を防ぐのは非常に難しい」と、実感を込めて話す。
ただ、母親から胎児への感染率は20%程度。胎内で感染しても無事に生まれる子どもも多い。貧血には胎児輸血で血液を補充する治療もあるほか、奇形が生じる病気でもない。
リンゴ病は、一度かかると、免疫がつき、再びかからないとされている。〇七年の調査では、十代〜三十代の六割前後が、リンゴ病の免疫があった。発疹の出る病気をリンゴ病と誤認することもあり、「かかったことがあるから大丈夫と油断しないで」と、名古屋第二赤十字病院の田中太平新生児科部長は強調する。
引用元:
リンゴ病流行、妊婦は注意 胎児感染で死産・流産も(東京新聞)