どんな女性で乳がんの可能性が高く、検査を受ける意味が大きいのか。

 このたび、5年間の乳がんのリスク、乳腺密度という考え方に基づいて、検査の意味の高い女性の特徴が報告されている。

 米国では法律で告知を義務付けるような動きもあり、マンモグラフィーのような検査を検討する場合には知っておきたい。

女性約37万人分のデータで検証

 米カリフォルニア大学のカーラ・カーリコウスク氏らの研究グループが、内科分野の有力医学誌、アナルズ・オブ・インターナル・メディシン誌において2015年5月19日に報告している。

 2009年、米国コネティカット州で「乳房組織密度告知法」が初めて制定された(マンモグラフィー、米国で新たな規制の波、乳がん拾い上げに超音波追加は?)。

 この法律は、乳がん検診でマンモグラフィーを受けた女性に乳房の「組織密度」を知らせるよう、診断機関に義務づけたものだ。

 「高密度」と判定された女性には、超音波検査やMRI検査などの選択肢もあると告知するよう義務づけている。

 母乳を出す乳腺は人によって密度が異なっている。高密度乳腺は文字通り、乳腺の密度が高い人を言う。

 研究グループによると、同様の法は、米国の州で続々制定されて、21州にまで広がっている。

 研究グループは、追加の画像検査に関する相談をより良くするためにどのようにリスクを判断すればよいかを検証している。

女性約37万人分のデータで検証

 乳がんの可能性については、「乳癌サーベイランス・コンソーシアム(BCSC)」という団体によって、乳がんの経験、年齢、家族の乳がんの有無、人種などから、5年間の乳がんのリスクを判定する方法が広がりつつある。こうした乳がんリスクについての情報と、乳腺画像から確認した乳腺密度をどのように組み合わせるとより良い乳がんの発見につながるのかが関心事となる。どういう人に詳しい検査を勧めると良いかも考える必要がある。

 研究グループは、40歳から74歳の女性36万5426人を対象として、乳がんのリスクや乳腺密度と、実際に乳がんとなる可能性との関係を検証した。検証の対象となったマンモグラフィー検査の83万1455回分だ。

 具体的には、マンモグラフィー検査千回当たりの乳がんの検出率、乳腺密度、乳がんの5年リスクの関係を分析した。乳がんの検出率が高いという判断は、検査千回当たりがんの人が1人以上見つかる場合とした。

乳腺密度に加え、5年リスクの組み合わせを

 結果として、検査を千回行ったときに乳がんが1人以上見つかる条件は、「乳がんの5年リスクが1.67%以上と判定される女性で、しかも極度の高密度乳腺である場合」あるいは「乳がんの5年リスクが2.50%以上と判定される女性で、密度にむらがあるか高密度乳腺である場合」となった。

 さらに、進行した乳がんが検査1000回当たりに0.4人以上の割合で検出できる条件は、「乳がんの5年リスクが2.50%以上と判定される女性で、密度にむらがあるか極度の高密度乳腺の場合」となった。

 密度にむらがある乳腺の51.0%、極度の高密度乳腺の52.5%について、5年リスクは低いレベルあるは平均的なレベルと判定されていた。検査千回当たりの乳がんの検出率はそれぞれ0.58人から0.63人、0.72人から0.89人だった。

 研究グループは、高密度乳腺のある女性すべてで乳がんの検出率は高いわけではないと説明。画像検査の有効性を判断するときには、乳腺の密度だけを判断基準とすべきではないという。

 自身の乳がんなど病気の経験、家族の乳がんの有無や年齢、年齢などを踏まえて、検査の実施を考えるとよいと言える。

 検査に臨むときには、進んだ米国の検査の考え方を参考としたい。


引用元:
注意したい「高密度乳腺」のおっぱいを持つ女性、乳がんのリスクが高めに(Medエッジ)