赤ちゃんが夜中に泣いて、なかなか寝てくれない夜泣き。おなかはすいていないようだし、おむつも乾いているのに…。特に母親は赤ちゃんの泣き声に敏感なだけに、夜中に何度も起こされることが続けば、心身ともに疲弊してくる。夜泣きの原因ははっきりしないが、夜しっかり寝られるように昼間のうちに準備するのが、夜泣きを減らす第一歩になりそうだ。 (寺本康弘)


 夜泣きは、単に夜に泣くことを含める場合もあるが、特段の理由がないのに夜中に泣き続けることを指す。早い子は生後一カ月ごろから始まる。昼間に起きている時間が長くなり、夜にまとまって寝る体内時計が安定してくるといわれる生後一〜三カ月ぐらいを経て、一歳前後まで続くこともある。七〜九カ月で経験する子が多い。ほとんどない子もおり、個人差が激しいという。


 子どもの睡眠に詳しい東京ベイ・浦安市川医療センター管理者の神山(こうやま)潤医師(小児科)は体内時計ができあがるまでは、赤ちゃんが一日二十四時間の生活に慣れておらず、夜中に目覚めたことをきっかけに泣き続けてしまうことがあるという。


 一方、体内時計ができあがってからの夜泣きには、効果が上がる場合のある方法もある。昼間は室内を明るく保って、赤ちゃんによく話し掛け、外で積極的に遊ぶようにする。暗くなったらできるだけ早い時間に規則的に寝かせることで、夜泣きが減る可能性がある。


 「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」(かんき出版)の著作があり、保育士の資格を持つ清水悦子さん(35)=横浜市=は、娘の夜泣きで悩んだ経験がある。夜泣き対策として重視するのは、赤ちゃんの生活リズムを整えること。


 遅くとも午後九時までには寝かせ、就寝三十分前は、赤ちゃんと静かな雰囲気の中でスキンシップを取るようにすると寝る準備になる。「仕事で遅く帰ってきたお父さんがお風呂に入れたり遊んだりして、就寝時間が遅くなるのはできるだけ避けた方が良い」。できる限り、生まれてからすぐ取り組むことを勧める。


 労力のかからない寝かしつけにも工夫の余地がある。赤ちゃんが目覚めるたびに抱っこをして寝かしつけていると、ただでさえつらい夜中の寝かしつけの負担がさらに重くなる。普段、添い寝をしているなら、寝転がったままおでこをなでたり、背中やおしりをトントンとたたいたりする。これだけで赤ちゃんが安心できるという。

◆「頑張りすぎないで」


 「夜泣きで一番、深刻な問題は、親が頑張りすぎて心のバランスを崩してしまうこと」と清水さん。夜泣きが治らず、泣き声を聞き続けていると、自分が責められているような感じを受ける母親は多いという。


 夫はそんな悩みに気付きにくいため、妻はストレートにつらさを訴えた方が良いという。地域の子育て支援の場を活用するのも良い。スタッフの中で自分と合う人を見つけ、愚痴を言うとすっきりする。


 清水さんは「親のせいで赤ちゃんが眠れないわけじゃない。寝るのが下手なのが赤ちゃん。一人で悩みすぎないで」と話す。


引用元:
夜泣きどうすれば… 昼夜のリズム正そう(東京新聞)