乳がんの手術後にうつ状態になる人は多い。手術後早めに「認知行動ストレス管理」と呼ばれる心理療法を受けると、10年以上の長期にわたり、うつ状態が改善し、生活の質も高められると分かった。
米国ハーバード大学とマイアミ大学を中心とした研究グループが、米国がん学会発行のがん専門誌キャンサー誌で2015年6月1日に報告した。
乳がん治療後の問題
乳がんを手術した人は、長期にわたり生活の質(QOL)が下がったと感じたり、うつ状態になったりする場合がある。乳がんは30〜40歳代の女性にもできやすいがん。女性にとって大切な乳房を取ってしまうことに対する精神的なダメージは大きい。また、手術後のホルモン療法の影響で、うつ症状が強まる場合もある。
以前の研究で、早期乳がんの手術後に、心理療法の1つである「認知行動ストレス管理(CBSM)」をグループで行うと、生活の質が1年以上改善され、5年後までのうつ症状も減ったと報告されている。この研究には「NCT01422551」というIDがついている。
今回研究グループは、この先行研究を、さらに長期にわたって追跡調査した。これにより、認知行動ストレス管理が乳がんの手術後の精神的ダメージに、長期的に良い効果をもたらすかどうか検証した。
15年の追跡調査
研究の対象者は、乳がんの進行ステージ0からステージ3bで手術を受けた100人。手術の2週間から10週間後にランダムに2つのグループに分けられた。
一つのグループ(51人)は認知行動ストレス管理を10週間受けた。もう一方のグループ(49人)は比較対照として、心理教育指導を1日受けた。
その後、8年〜15年(平均11年)にわたる追跡調査が行われた。
評価は、自分で記入するタイプの抑うつ評価尺度「CES-D」と、乳がん用のQOL尺度「FACT-B」を用いて行った。
長期にわたり効果
結果、認知行動ストレス管理を受けた人は受けなかった人に比べて、うつ症状が37%軽減され、QOLは42%高かったと判明した。
乳がんの手術後早めに認知行動ストレス管理を行うと、長期にわたって精神的ダメージを軽減できると分かった。これは、乳がんの手術をした人の心理的、社会的な好影響につながると研究グループは見ている。
認知行動ストレス管理は、専門家と一緒に、今自分が置かれている状況を客観的に見つめながら、生活のリズムをつけていく方法。その上で、心の問題を解決していく。うつ病を始め、多くの精神疾患に効果があると実証されており、広く医療に取り込まれつつある
引用元:
乳がん手術後の「落ち込み」や「戸惑い」、心理療法で10年以上にわたる改善効果(Medエッジ)