乳がんになってからのその後を予測するオンラインツールを使うと、8〜10年間の生存率を正しく予測できるようだ。

 一方で、短期的な生存率は実際よりも高めに見積もると分かった。

 英国の国民保険サービスが提供する、乳がんの予後予測ツール「プレディクト(PREDICT)」で、40歳以下の若い人のみを対象にした検証から分かった。

乳がんの予後予測ツール
 英国のサウサンプトン大学を中心とした研究グループが、がんの専門誌ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー誌で2015年3月17日に報告したもの。

 英国の40歳以下の女性で最も多いがんは「乳がん」だ。英国の国民保健サービス(NHS)は、「プレディクト(PREDICT)」という、乳がんの予後予測ツールをオンラインで公開している。これは当初、初期の乳がんの最適な治療法を決定するために2010年に開発されたものだ。

 研究グループは今回、40歳以下の若い女性の乳がんで、PREDICTがどの程度正確に生存率を予測できているかを検証した。

10年生存率は正確に予測
 乳がんと診断された40歳以下の英国人女性3000人のデータを基に解析した。その結果、PREDICTは、長期(8年〜10年)の生存率を正確に予測できると分かった。

 一方、短期(5年)の生存率も予測した。こちらの予測は、若い女性に限定した場合、正確性に欠けていた。PREDICTは全体の生存率を実際より25%長く予測していた。

 乳がんの7割程度は、女性ホルモンががん細胞の増殖を促してしまう「エストロゲン受容体(ER)陽性」というタイプの乳がん。PREDICT は、ER陽性の乳がんの5年生存率を、実際より56%長く予測していた。反対に、ER陰性の乳がんでは、5年生存率が実際より短く予測されていた。

 結論として、40歳以下の若い女性で、長期生存率の予測に、PREDICTは有効なツールだと分かった。

 短期の生存率をより正確に予測するために、若い年齢で発症した乳がんのデータをさらに集めて、データベースを補正する必要があると研究グループは述べている。

 正しい予測ができるならば、日本でも利用価値は生まれてくるのだろう。



引用元:
乳がんの「その後」を予測するツール「プレディクト(PREDICT)」、予測の正確性は?英国のツール、若い女性の生存率の予想にもMedエッジ‎ (Medエッジ‎)