これまで、妊娠後期の妊婦が抗うつ剤を使用することで、新生児が重篤な呼吸障害を起こすリスクが高まる可能性があるとされてきた。だが、その確率は過去の研究が示唆したほど大きくはなかったようだ。新しいデータが明らかにした。

 最新の調査結果は、患者と医師に検討のための新たなデータを提供している。だが、その結果は多くの妊婦が求めるほど完全な明確さはない。

 この研究は、抗うつ剤と重篤な呼吸不全を特徴とする新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の関係を調べたもの。米食品医薬品局(FDA)は2006年、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」に分類される抗うつ剤がPPHNを引き起こす可能性があると警告した。ある臨床試験でSSRIの投与がPPHNのリスクを6倍に高めたことがきっかけだ。

 たださらに研究が進むにつれ、それと相反する結果が報告された。これを受けFDAは11年に指針を改定し、SSRIがPPHNを引き起こすかは「不明」とした。

 米医学学会誌(JAMA)に掲載された最新のデータは、2000〜10年までに出産したメディケイド(低所得者向け医療保険)に加入する女性380万人の医療記録を調査したもので、抗うつ剤を出産直前の3カ月に服用した群と妊娠中抗うつ剤を服用しなかった群でPPHNの発生率を比べた。

 PPHN発生の絶対数は低いことがわかった。1万人の出産でPPHNを発症した新生児は、抗うつ剤を使用しなかった群で20.8人、SSRI服用群で31.5人、別の分類の抗うつ剤を服用した群で29.1人だった。

 健康状態や人口動態的特徴を調整後にこれらの群を比較したところ、研究者は群間のリスクの差異は、統計学的に有意でないと判断した。つまりPPHNの発生が偶発的だった可能性を意味する。

 ただ調査対象とした女性の小集団でみると統計的有意な差異が認められた。早産、心臓の先天異常、肺の異常に起因しないPPHNの例のみを解析したところ、SSRIを服用した親の新生児はSSRIを服用しなかった親の新生児と比べ、PPHNのリスクが28%高かった。

 そのためこの研究の結論は、「抗うつ剤SSRIを妊娠後期に使用することで、新生児が重篤な呼吸障害であるPPHNを起こす潜在的リスクが高まる可能性がある」となった。


引用元:
抗うつ剤による新生児の呼吸障害に新データ(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)