糖尿病はさまざまな病気を招くことが知られているが、糖尿病にかかっていること自体が死亡リスクを上昇させることが、日本人約10万人を調査したJPHC研究から分かった。5月3日発行の英医学誌「BMJ Open」(2015; 5: e007736)に報告した国立国際医療研究センター糖尿病研究センターの加藤昌之氏らは、中高年の糖尿病患者の死亡リスクは女性で2倍、男性で1.6倍と発表した。糖尿病が死亡リスクに関連することは多くの研究で確認されているが、そのほとんどが欧米で実施されたものだった。


心臓病や脳卒中による死亡リスクは2.5倍

 糖尿病患者は世界的に増えており、日本も例外ではない。国内の2型糖尿病患者数は950万人(厚生労働省「2012年国民健康・栄養調査結果」)とも720万人(国際糖尿病連合「糖尿病アトラス」第6版改訂版)ともいわれており、国際糖尿病連合の調査ではワースト10入りしている(関連記事:日本の糖尿病人口、720万人でワースト10維持)。

 今回の研究では、1990年の登録時に40〜69歳だった男女9万9,584人(男性4万6,017人、女性5万3,567人)について、2010年末まで追跡調査した。登録時に糖尿病と診断されていたのは男性6.0%、女性2.8%だった。

 解析の結果、糖尿病患者では糖尿病でない人に比べて死亡リスクが高く、男性で1.60倍、女性で1.98倍。死因別では、特に心臓病や脳卒中などの循環器病によって死亡する危険性が高まり、男性で1.76倍、女性では2.49倍に達した。一方で、がんによって死亡する危険性は緩やかだった(男性1.25倍、女性1.04倍)。なお、これら以外の原因による死亡リスクは男女ともに高い結果が出ている(男性1.91倍、女性2.67倍)。


糖尿病の期間が長いほど死亡リスク高まる

 こうした糖尿病と死亡リスクの関連は、追跡調査中に糖尿病と診断された人に比べ、登録時に糖尿病だった人でより強いことも示された(図)。これについて、加藤氏らは「糖尿病の死亡リスクへの影響は、糖尿病にかかっている期間が長くなるほど強くなることを示唆している」と考察している。





 今回の結果について、加藤氏らは「糖尿病患者の死亡リスクの上昇度は、欧米の研究結果とほぼ同等だった」とし、日本人でも糖尿病と死亡リスクが関連することが明らかにされたと結論。「近年の糖尿病患者の増加は、日本人の寿命に影響する可能性がある」との見解を示している。


引用元:
女性は糖尿病で死亡リスク2倍に、日本人10万人を調査 (ヨミドクター)