子宮頸(けい)がんワクチンの副作用報告が相次ぎ、接種の呼び掛けが中断している問題で、神奈川県がワクチン接種後に痛みや運動機能の障害などが出た人に医療費の自己負担分などを給付する方針を決めた。接種と症状との因果関係が明確でなくても支給する。横浜市や茨城県牛久市などにも同様の制度があるが、都道府県では初めて。7月中旬から始める予定だ。

 子宮頸がんワクチンの接種は2010年秋からの国の助成で広まり、13年4月には予防接種法改正で努力義務化された。小学6年〜高校1年の女子約338万人が接種を受けたが、持続的な痛みやしびれなどの異常を訴えるケースが相次ぎ、国は同6月から接種の積極的な勧奨を控えている。神奈川県によると、県内で痛みなどの「有害事象」の報告は先月末までに112件に上る。

 そこで同県は、医療費の自己負担分と、通院や入院の期間に応じた医療手当(毎月3万4000〜3万6000円)の給付を決めた。対象は(1)既に制度がある横浜市を除く県内自治体で子宮頸がんワクチンの接種を受けた(2)接種後に原因は不明だが持続的な痛みやしびれ、脱力、意思と関係なく体が動く「不随意運動」などの症状で日常生活に支障が出た(3)症状を県に相談した−−の条件をすべて満たす場合。保健福祉局が窓口を設け、面接のうえで給付の可否を判断する。

 毎日新聞の調査では、自治体独自の支援は東京都杉並区など5市区が導入している。全国に先駆けて昨年6月から実施している横浜市では今年3月末までに、24人に計1274万円の支給を決めた。

 一方、国による救済は進んでいない。予防接種法に基づく救済制度はあるが、国は接種と被害との因果関係を調べる追跡調査を実施中で、審査の手続きは事実上止まっている。

 厚生労働省に寄せられている接種後の体調悪化の報告は2400件以上に上る。ワクチン接種に詳しいナビタスクリニック立川の久住英二医師は「接種後の症状に苦しむ人たちを救い、安心してワクチンを受けられるようするためにも、都道府県や国の支援が必要だ」と指摘する。【河内敏康】

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引用元:
子宮頸がんワクチン:接種後異常、神奈川県が医療費助成へ(毎日新聞‎)