欧州3カ国の臨床試験結果によると、おなかで赤ちゃんが大きくなり過ぎた場合には誘発分娩の方が、出産時に重大な障害が発生するリスクが低いようだ。

 誘発分娩は、分娩促進薬などを使って計画的に出産する方法を言う。

さまざまな障害が発生

 スイスのジュネーブ大学医学部附属病院を含む研究グループが、国際的医学誌ランセットのオンライン版で2015年4月8日に報告した。

 赤ちゃんがおなかで大きくなり過ぎてしまうと、出産のときに肩がひっかかって出られなくなるなどの障害が発生しやすくなる。肩甲難産と呼ばれる問題となる。

 研究グループは、フランス、スイス、ベルギーの専門病院19カ所で、全体を100人とした場合に重い方から5人中に入る(赤ちゃんの体重が95パーセンタイルを超える)母親を対象として、赤ちゃんがいつ生まれてもおかしくない時期である妊娠37〜38週に3日以内の誘発分娩処置を行うグループと、自然に陣痛が始まるのを待つグループ(それぞれ約400人ずつ)に分けて、赤ちゃんと母親に重大な出産時障害が発生するかどうかを比較した。

 出産時障害と考えられるのは、肩甲難産のほか、それに伴って赤ちゃんの腕の神経や鎖骨が損傷したり、頭蓋内出血、死亡に至ったりするといった問題を含めている。

自然経膣分娩も増える

 出生体重は誘発分娩グループで平均約3800g、自然分娩グループで4100gだった。

 誘発分娩グループは肩甲難産などの障害が8件で、自然分娩グループの25件より発生リスクが約70%低かった。

 誘発分娩の方が、自然経膣分娩(母親の力で膣を経由して産道から出産すること)の確率が14%高く、帝王切開の確率は両グループで差がなかった。

 誘発分娩処置による影響を考慮する必要があるものの、大きくなり過ぎた赤ちゃんの場合は誘発分娩の方が、肩甲難産などのリスクが低いと思われる。


引用元:
おなかで大きくなり過ぎた赤ちゃんには誘発分娩の方が良さそう(Medエッジ)