大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)が、患者の了承を得ずに凍結精子の保存を中止していた問題で、同病院が廃棄に向けて正式に患者の意思確認の調査を始めたのは、保存を中止した約5カ月後だったことがわかった。管理責任者は保存中止を知らなかった。ずさんな管理の実態が改めて明らかになった。

2人分の精子凍結保存、了承得ず中止 大阪の病院
 同病院によると、13人分の精子の凍結保存を打ち切ったのは昨年9月ごろ。管理責任者を務め、12年に別の病院に異動した元婦人科副部長が、同病院の医師に指示していた。保存中止の方針が患者にも伝わっていると思っていたという。

 一方、後任の管理責任者となった婦人科部長は今年1月以降、保存精子の廃棄に向けて患者の意思確認の調査を始めた。医療機器を整理していた看護師から、保管容器の処分を求められたのがきっかけだった。同病院によると、部長は保存の中止を知らなかった。

 その調査でも、13人中6人分については主治医を通じて廃棄の了承を確認したが、7人分は確認していなかった。問題発覚後の同病院の聞き取りに対し、「やらないといけないという認識はあったが、失念していた」と説明したという。

 4月になって大阪府池田市の男性(30)が凍結精子を使いたいと同病院に問い合わせ、保存の打ち切りが病院内で明らかになった。未確認の7人のうち、5人は死亡していたり文書で伝えた形になったりしていたが、大阪府と奈良県の2人の了承は得ていなかった。

 病院側は連絡体制が不十分だったことを認め、瀧藤伸英病院長は20日、「コミュニケーション不足だった」とコメントした。(藤田遼、西村圭史)



引用元:
凍結精子、保存中止5カ月後に意思確認 病院ずさん管理(朝日新聞)