乳がんに従来ない効き方をする新薬が登場するかもしれない。
米国ワイルコーネル大学医学部のマウラ・N・ディックラー氏らの研究グループが、米国がん研究会議のウェブサイト上で2015年4月20日に報告している。
少人数を対象に人で初期の検証
研究グループによると、米国で診断される乳がんのほとんどは「ER陽性」の乳がん。ERとは、女性ホルモンのエストロゲンに反応するエストロゲン受容体のこと。エストロゲンがくっついて活性化して、がん細胞を増やすと分かっている。
今回、新たに開発された薬は、エストロゲン受容体を分解するという薬だ。「ER分解薬」と呼ばれる薬だ。これまではエストロゲン受容体にエストロゲンがつながらないように邪魔をする薬はあったが、そもそもなくしてしまうというアプローチは新しい。エストロゲン受容体を持つがんと持たないがんがあり、持っているがんに有効である可能性があるわけだ。
研究グループは、エストロゲン受容体を持つ乳がんにかかり、しかも病状が進行したり、がんの転移があったりした閉経後の41人の女性を対象に検証を行った。
薬の開発名は「GDC-8010」といい、この薬を1日に1回か2回、空腹時と非空腹時の両方で投与した。
なお、今回の臨床試験は、薬を人に使う初期段階の試験で、安全性を見ながら、実際に使用する薬の量を決めるのが主な目的となっている。併せて効果も確認するというものだ。
従来の薬が効かない人にも効果か
結果として、安全性については人でも使えると見られた。副作用は下痢、吐き気、疲れ、嘔吐など。推奨する薬の量は非空腹のときに1日1回600mgを飲むように設定すると良さそうだと分かった。
その上で、実際にエストロゲン受容体が減った上に、がん細胞の増殖も減っていると確認できた。
従来、エストロゲン受容体に対応する遺伝子であるESR1に突然変異があると、薬が効きにくい問題があった。
今回、ER分解薬はこの突然変異があっても効果を示す可能性が示されている。肝臓に転移した女性のがんの病巣が縮む現象を確認している。
今後、さらに人数を増やして有効性を確認できるか。
文献情報
Dickler MN et al. Investigational ER Degrader Safe, With Early Signs of Antitumor Activity Against Advanced ER-positive Breast Cancer. AACR Annual Meeting 2015. 2015 Apr 20.
http://www.aacr.org/newsroom/pages/News-Release-Detail.aspx?ItemID=711#.VTd8o5Mvs20
引用元:
乳がんに画期的な薬が実現か、女性ホルモンを受け止める受容体を分解する薬「ER分解薬」 (Medエッジ)