米国人女性が、「避妊に対する保険補償」のような、性と生殖に関する健康に影響する国の政策に対してどのような意向であるかは、信仰する宗教により異なると、新たな調査により改めて明らかとなった。

オバマケアと宗教
 米国ミシガン大学を中心とした研究グループが、避妊の専門誌コントラセプション誌で2015年3月11日に報告した。

 米国の医療保険制度改革は、オバマ大統領が就任時に公約したもので「オバマケア」とも呼ばれている。その中心が「医療費負担適正化法(ACA)」。この中で、キリスト教など避妊に反対の宗教を信仰している人を含め、全ての女性が、避妊の費用に保険が適用されるチャンスを持てるように条件付けられた。2012年のことだ。

 この改革によって、避妊に反対の宗教系の大学などは、従来通り、従業員の避妊に関する費用を健康保険で負担しなくて良いが、代わりに保険会社が負担することになり、大学などに雇用されているがその宗教を信仰していない従業員なども、避妊薬の購入などに保険が利くチャンスを得られるようになった。

 しかし、この政策について女性たちがどのような見解を持っているかはほとんど知られていない。

 今回研究グループは、さまざまな宗教を信仰している女性たちが、医療費負担適正化法により雇用側の保険制度が避妊や人工妊娠中絶をカバーしていることに対してどのような見解を持っているのか、アンケート調査を行った。

 対象は、女性の医療に関する国の調査に参加した18歳から55歳までの、合計1078人の米国人女性。

 アンケートの回答者は、バプテスト(18%)、同性愛者を除くプロテスタント(17%)、カトリック(17%)。これらはいずれもキリスト教の宗派だ。さらに、その他のキリスト教(20%)、キリスト教以外の宗教信仰者(7%)、無宗教(21%)という内訳だった。

女性の声に耳を傾けて
 統計学的に解析した結果、キリスト教の見解と反するような、避妊薬などの保険補償に関する医療費負担適正化法に対し、女性の意向は信仰する宗教によって違いがあると分かった。

 無宗教の女性と比較すると、バプテストと特定宗派に属さないキリスト教の女性は、雇用側が避妊を保険負担することに対して賛成の人が4割ほど少なかった。

 また、週に1回以上教会に出かける人は、それ以下の人に比べてこの制度に賛成の人は半分程度だった。

 これらの結果より、宗教と女性の生殖をめぐる女性の見解は、想像以上に複雑であると分かった。

 生殖医療に関する政策の影響を受けるのは主として女性。女性の声に耳を傾け、国民女性が真に求める制度を立てる必要があると研究グループは述べている。

 日本でも避妊や中絶の問題は複雑だが、米国では依然として重要な問題というわけだ。


文献情報
Patton EW et al. How does religious affiliation affect women’s attitudes toward reproductive heath policy? Implications for the Affordable Care Act. Contraception. 2015; Feb 26. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25727764




引用元:
米国の避妊に対する保険補償、政策と宗教の間に溝 (Medエッジ)