生後直後のスキンケアでアトピーが予防できることについて、昨年ほぼ同時期に似た内容の論文が2つ発表されました。具体的な内容としては、親がアトピー疾患を持つ赤ちゃんを、スキンケアをするグループとしないグループで分け、アトピーの発症率を比較するというものです。結果は、スキンケアをしたグループの方がアトピーの発症が少なかったというものです。

さらに、アトピーを発症している子供としていない子供を比べると、アトピーを発症している子供の方が卵アレルギーを発症している率が高かったといことです。このことで、生後直後のスキンケアによってアトピーや食べ物アレルギーの発症リスクを低減できると考えられたわけです。

スキンケア・大切なのは使う石鹸?
ここで言うスキンケアとしては、とりわけ保湿ケアの大切さを言われていますが、実はこの2つの論文ともに実験の際には洗うものについても指定をしています。それはアルカリ性の固形石鹸を使わず、弱酸性の合成洗浄剤を使用させているということです。

ここからは僕の推論になりますが、このアレルギーの発症と洗うものについては深い関係があるのではないかと思います。昔から赤ちゃんの沐浴に使われてきた固形石鹸は、アルカリ性のため角質層を溶かす作用があります。

もともと大人の1/3〜1/2しかない角質層が石鹸で溶かされてしまうと、当然バリア機能は低下してしまいます。また、論文の中に書かれていた内容の中に「バリア機能が低下すると免疫を司る細胞が皮膚の表面まで手を伸ばして、よりアレルゲンをキャッチしやすくなる。」と書かれています。

つまり、洗ってバリア機能を低下させることでアレルギーになりやすい状態を導いていると考えられるのです。昔ながらの固形石鹸はなんとなく安心してしまいますが、赤ちゃんの肌にはアミノ酸系洗浄剤などの、弱酸性の合成系洗浄剤の方が適しているのかもしれません。

アトピーの原因は母乳?それとも石鹸?
この論文を読んで僕が感じたもう一つの疑問は、母乳しか飲まない時期になぜ卵アレルギーを発症するのかということです。論文の内容を解釈すれば、卵に含まれるのと同じタンパクが皮膚に触れて皮膚アレルギーを起こし、それによって卵を食べることでもアレルギーを起こすということです。

母乳にもタンパクは含まれますが、母乳が皮膚にくっつくことは滅多にありません。なのになぜなのでしょうか?これも僕の推測ですが、固形石鹸は牛脂などの動物性油脂やヤシ油などの植物油脂を加水分解して作られます。

この油脂類の中に卵アレルギーの原因となるタンパクが含まれている可能性が否定しきれないのではないかと思うのです。

バリア機能を低下させる湿度低下や紫外線増加が進む現在。アレルギーのリスクはどんどん高まっているのかもしれません。身の回りを見ても、僕が子供の頃よりも、今の方がアレルギーを抱える子供が増えているように思えます。

アレルギーのメカニズムついて、まだ解明されていないことがたくさんありますが、未来ある子供達のQOL向上のためにアレルギー予防の方法が確立されることを、一人の化粧品開発者として願うのとともに、研究を続けていきたいと思います。

前回コラム「」も参考にぜひご覧ください。



引用元:
赤ちゃんのスキンケアについて考える。アトピーの発生とスキンケアの関係 (マイナビニュース)