ネパールを襲った大地震の2日後、首都カトマンズ近郊のバクタプルに住む大工、スーザン・タマンさん(24)と妻ラトナーさん(22)は初めての子供を授かった。混乱の続く病院の中で、健やかな赤ちゃんの寝顔は皆の「希望」となっている。【バクタプル(ネパール中部)で金子淳】

 ラトナーさんは25日、1人で自宅にいるところを突然の揺れに襲われた。約10分後、スーザンさんが帰宅。救急車で近くの病院に搬送した。道路はがれきが散乱していたが、住民が協力して救急車を通してくれた。

 出産は27日。予定日を約1週間過ぎていたが、無事に男の子が生まれた。名前はまだ決めていないが、スーザンさんは「地震にまつわる名前がいいかと思って考えている」と笑う。

 ラトナーさんは赤ちゃんを抱きながら「退院してからどうすればいいのか分からないが、大きな地震さえ来なければ生きていける」。病院職員の男性(30)は「この人たちは幸せだ。笑顔を見せることができるのだから」とほほ笑んだ。

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引用元:
ネパール地震:混乱の中、赤ちゃん誕生(毎日新聞)