乳がんのホルモン療法を長期間続けると治療が難しい「治療抵抗性がん」が再発することがあるが、熊本大発生医学研究所(所長・中尾光善教授)などのグループは29日、治療抵抗性がんが生じる仕組みを細胞実験で解明したと発表した。治療抵抗性がんの増殖を抑える物質も発見、乳がんの新しい診断法や治療法の開発に役立つという。

 中尾教授と斉藤典子准教授によると、大半の乳がんは女性ホルモンの一種「エストロゲン」が、がん細胞の増殖を促している。この種のがん細胞には、エストロゲンと結び付く「エストロゲン受容体」があり、エストロゲンと受容体の働きをともに阻害する薬剤を使うホルモン療法が行われる。同療法を続けると治療抵抗性がんになることがあるが、原因は不明だった。

 研究グループは、ホルモン療法を受けたのと似た環境で培養したがん細胞を解析。受容体の生成を促す物質が生じていることを確かめ、「エレノア」と命名。受容体が多量に作られるため、ホルモン療法が効きにくくなると考えられるという。

 また、このがん細胞にポリフェノールの一種「レスベラトロール」を加えると、エレノアと受容体が減少して、がん細胞の増殖が止まることを確かめた。

 斉藤准教授は「レスベラトロールは、既にサプリメントとして使われている。治療薬の候補として期待したい」と話している。

 成果は英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載された。(鹿本成人、中村美弥子)

引用元:
「再発乳がん」仕組み解明 熊本大のグループ (くまにちコム)