米国で先月、アイスを食べた人が「リステリア」による食中毒となり3人が死亡した。リステリアは食品を介して感染する食中毒菌。日本でも市販食品から国際基準を超えるリステリアが検出されており、同様の食中毒が起こる可能性がある。高齢者や妊婦は重症化する可能性が高く、特に妊娠中の感染は胎児に深刻な影響を与えることもあるため注意が必要だ。(平沢裕子)





年200人が感染

 リステリアは土壌や河川水、動物の腸などにいる細菌。食中毒を起こす菌として注目されるようになったのは、1981年にカナダでキャベツを使ったサラダが原因の食中毒が発生して以降。キャベツはリステリアに感染したヒツジから得た肥料を使った畑で栽培されていた。

 以降、欧米ではチーズなどの乳製品やスモークサーモン、生ハム、肉のパテなどによるリステリアの集団食中毒の発覚が相次いだ。

 米国の死亡事例は、大手メーカーの棒アイスが原因。米国疾病管理センターによると、8人が入院し、3人が死亡、リステリアはアイスの製造工程で混入したとみられている。

 日本では死亡事例の報告はないが、内閣府食品安全委員会の姫田尚事務局長は「市販の食品からはわずかながらだがリステリアが検出されている。流通段階や家庭で菌が増える可能性もあり、潜在的なリスクはある」と指摘する。
 厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業で報告されるリステリアの感染患者数は、平成20年の49人から23年は109人と倍増。厚労省は、年間の罹患(りかん)率を100万人当たり1・57人と推定、年間約200人の患者がいるとみている。欧米の罹患率は同2〜3人で、日本も欧米並みに増えつつある。


冷蔵庫でも増殖

 食安委が21年度に野菜やチーズ、食肉製品など1500種類の食品を調べたところ、21種類からリステリアを検出した。ほとんどは健康に影響を与える菌数ではなかったが、フランス産チーズ1種類からは、国際基準を超える菌数が検出された。別の調査ではスモークサーモンやネギトロ、たらこなどの魚卵からもリステリアが検出されている。

 菌が検出されても、菌の数が少なければ発症はしない。また、健康な大人の場合は発症しても風邪のような症状が出る程度で大事に至ることはない。

 ただ、免疫が低下した高齢者や妊婦が感染すると重症化することがある。また、妊娠中に母子感染すると、流産や早産、新生児の髄膜炎や敗血症などの原因となることがある。

 厚労省は20年からホームぺージなどで妊婦に向けてリステリアの食中毒について啓発している。
 リステリアは加熱調理で死滅するが、冷蔵庫内の温度でも増殖する。このため、購入後に冷蔵庫で保存している食品でも菌が増殖している可能性がある。食中毒を予防するため、加熱しないで食べる食品は購入後はできるだけ早く食べ、加熱できる食品は十分に加熱することが大切だ。




 ■リステリア菌量は国際基準と同じ 1グラム当たり100cfu以下に設定

 厚労省は昨年12月、食品衛生法に基づく規制として、生ハムなど非加熱食肉食品やカマンベールなどのナチュラルチーズについて、リステリアの基準値を国際基準と同じ1グラム当たり100cfu(cfu=菌量の単位)以下に設定した。

 それ以前は基準がなく、同省の通知でリステリアは「検出してはならない菌」として、輸入時の検査でリステリアが検出された場合、菌量に関係なく食品衛生法違反として輸入が禁止されていた。基準値設定は、国際的な整合性を踏まえて行われた。


引用元:
米で3人死亡、リステリア食中毒 高齢者は重症化、妊婦は流産リスク(産経ニュース)