中咽頭がんは2020年には子宮頸部がんよりも重要に
ヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチンは、女性の子宮頸がんの予防のために広がっている。

 男性の中咽頭がんの予防に対しても有効だという報告が出ている。

 カナダのプリンセス・マーガレットがんセンターの研究グループが、米国がん学会の発行する国際的専門誌キャンサーで、2015年4月13日に報告した。

HPVと中咽頭がんの関係
 ヒトパピローマウイルスは、HPVの略称で知られており、皮膚や粘膜に感染するウイルス。感染すると、女性の場合には子宮の入り口に当たる子宮頸部にがんを起こす可能性があるとして、先進国の多くで子宮頸がんの予防のためのHPVワクチン接種プログラムが確立している。

 研究グループによれば、2020年までにはHPV感染に関連するがんとしては、子宮頸部がんを抜いて中咽頭がんが最も多くなるだろうと予想されている。

 HPVワクチン接種は男女を問わず、HPVに関連する疾患を予防するために有効であることは証明されているが、男性に対する費用対効果は疑問視されている。

 ワクチンにかかる費用と、HPV感染によってがんが起きて診断や治療にかかる費用とのバランスがよく分かっていない。

 2012年に12歳の少年に対するHPVワクチン接種による中咽頭がん予防についての費用対効果を算定した。

カナダでは億単位でコスト抑制
 ワクチンの有効性が99%、接種率70%と仮定すると、HPV4(4価のHPVワクチン)は、1人当たり質調整生存年を0.05年増加させ、145カナダドル、日本円で1万5000円ほどのコスト削減になるという。質調整生存年は、健康で生きられる生存期間を指している。

 ワクチンの有効性が50%、接種率50%と仮定すると、質調整生存年は0.023年増加し、節約は42カナダドル、日本円で4000円ほどになる。

 カナダの12歳の少年の人口19万2940人について言えば、その生存期間中に800万〜2800万カナダドル、日本円で8億円から28億円のコスト削減になる。

 研究グループは男性の中咽頭がんの予防のために費用対効果は優れていると説明している。

訂正(2015/4/23)
・文中、喉咽頭と記載していましたが、正しくは中咽頭です。お詫びして訂正いたします。



文献情報
Graham DM et al.A cost-effectiveness analysis of human papillomavirus vaccination of boys for the prevention of oropharyngeal cancer.Cancer. 2015 Apr 13. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25867018



引用元:
ヒトパピローマウイルスのワクチン接種は男性にも有効、中咽頭がんを防ぐ(Medエッジ‎ )