今回はそのホルモンの刺激を受けて卵巣で卵胞が発育する際に分泌されるホルモン、「エストラジオール(E2)」についてお話します。
FSHやLHの刺激で、卵巣にある卵胞が発育しますが、月経が始まった時点では、いくつかの卵胞がその月経周期に発育するように準備されています。若い人ですと十数個、高齢な方では1〜2個の卵胞が準備されて約2週間かけてこのうちの1個が選択され、発育し排卵します。
卵胞が1個だけ発育するようになるには、FSHやLHの微妙なバランスが重要になります。卵胞発育のこの時期に注射や服用するお薬でFSHやLHを高めると、月経初期に準備されたすべての卵胞が発育することになります、これが体外受精の際にたくさん卵子を取るための排卵誘発法の仕組みです。
月経の初期に、卵巣のホルモンであるE2を計ることがあります。月経初期で採血し測定するとだいたい50pg/ml前後です。このE2は、卵胞の中の細胞である「顆粒膜細胞」から分泌されるホルモンで、卵胞が発育すると顆粒膜細胞が増殖することにより血中のE2も高まります。
卵胞は、排卵の直前には20mmぐらいの直径になります。この時の血中E2は300pg/ml前後です。ただこの値は個人差が大きく、またその他のホルモンの値との関連で値の意味を考えなければいけません。とはいえ、このぐらいの値であれば、よい卵胞が発育し、たぶんその中にはよい卵子が含まれているだろうと考えています。
卵胞が十分に発育すると、下垂体からLHの大量放出(サージ)が起こり、この刺激で卵胞は排卵します。この時期、E2値はいったん下がりますが。黄体期中期に向けて再上昇します。しかし、この時期にE2ホルモンを測定し、患者さん皆さんにお知らせすることは基本的にはありません。
月経周期の各時期の呼び名は、注目する対象によって異なります。たとえば、卵胞に注目するときは「卵胞期」「排卵期」「黄体期」と呼びますが、基礎体温表に注目すれば「低温期」「排卵期」「高温期」、子宮内膜に注目すると「増殖期」「分泌期」と呼びます。
ですので、医師の説明の際にそれぞれの名称を聞かれた場合には、その関係する項目に医師が注目して話をしているのだな、と思ってください。
さて、E2は卵胞の発育の指標であることがわかりましたが、このホルモンの役目として、子宮内膜の増殖があります。月経時、前の周期の子宮内膜が剥(はく)離して子宮内膜は薄くなりますが、このE2が分泌されることにより、子宮内膜は増殖を開始して厚くなり、受精卵が着床するための準備をします。
排卵直前の時期に超音波断層装置で子宮内膜が薄いとき、または、木の葉状の形に見えない時は、E2を測定し、E2が十分な値に達しているか検査します。
引用元:
不妊の検査B(朝日新聞)