枚方市の星ケ丘医療センターで3月17日、市内に住む女性(43)が助産師に見守られながら、生後2週間の長女を沐浴(もくよく)させていた。仰向けの状態からうつぶせにして背中を洗う。「だいぶ慣れましたね」と言われ、女性は「はい」と笑顔を見せた。
■産後ケア手厚く
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拡大産後ケア事業で生後2週間の赤ちゃんをお風呂に入れる女性(左)=枚方市星丘4丁目の星ケ丘医療センター
市が昨年12月から始めた「産後ママ安心ケアサービス(産後ケア)」事業の一コマで、生後4カ月未満の子を持ち、育児に不安があったり、家族の支援を受けられなかったりする母親をサポートする。沐浴や授乳後のゲップのさせ方、爪の切り方などを教えるとともに、出産で心身ともに疲れ切った母親に休息を取ってもらう狙いもある。
市によると、出産する母親の年齢が高くなると祖父母も高齢となり、子育てへの協力が難しくなるため母親は育児不安になりやすいという。担当者は「出産直後の支援を手厚くする必要があると感じた」と話す。
産後ケア事業は、宿泊型(1泊3食付き、5600円)と日帰り型(2食付き、2800円)があり、「府内初」をうたう。同センターなど市内5カ所で実施し、3月末までに宿泊型6件、日帰り型1件の利用があった。
この女性の両親は岡山県内に住み、夫は朝早くに出勤して夜遅くに帰る生活。「出産後は大変になると思い、何かないかと妊娠中に見つけたのがこの事業だった」と女性は話す。
3月3日に出産し、1週間入院したが、子どもの夜泣きが激しく、「退院の日が迫っているのにリズムがつかめず、どうしようと不安だった」。気分が落ち込み、突然涙が出ることもあった。
退院翌日から日帰り型のケア事業を計7日間利用したことで体が休まり、精神的にも安定したという。「全部自分でやらなければならなくなる退院直後が一番大変。こういうサービスがもっともっと充実すればと思います」
人口減が進むなか、各自治体は子育て世帯の取り込みにしのぎを削る。子ども医療費助成の制度拡充を進める一方、よりきめ細やかなサービスを競うようにして打ち出している。
■病児保育始める
箕面市は来年1月から、公立保育所で発熱した子どもらを預かる「病児保育」を始める。病院ではなく保育所で預かるサービスは珍しく、市民へのアンケートで病児保育を求める声が多かったことから導入を決めた。完全個室で預かり、まずは1日定員6人程度でスタートする。担当者は「仕事と子育てを両立できるよう安心して預けられる環境づくりを進めたい」と話す。
大東市では今年度から、近畿日本ツーリストと連携し、市内のホテルを利用した「産後リラクゼーション事業」を始めた。生後3〜12カ月の子どもを持つ母親が対象で、和室スイートルームに1泊するプランの料金を補助。専属の助産師が付き、ディナーや温泉を楽しみながら、心身の回復を図り、子育てに自信を持てるように促す。担当者は「ホテルを利用した宿泊型の産後ケア事業は恐らく全国初」と胸を張る。
同市では2009年に17歳以下の人口は2万2770人だったが、13年には2万1093人に減った(いずれも9月末時点)。特に就学前の児童の減少が目立ち、「他の自治体と横並びではダメ。目立つ事業を取り入れ、少しでも子育て世帯にアピールしないと」と話す。
富田林市は昨年、定住促進の取り組みを紹介するポータルサイトを開設し、その中で子育て支援策の充実ぶりを強調している。「他市に負けず劣らずの子育て支援をしているのにあまり知られていないと感じたのがサイト立ち上げの理由」と担当者。市内在住の子育て世帯の71%が「子育てしやすい」と回答したというアンケート結果を前面に出し、子どもの成長過程に合わせてどんな支援策を受けられるのかを表を使って説明している。「富田林市っていいねと思ってもらえるきっかけになれば」と期待を寄せる。
子育て支援に詳しい山県文治・関西大教授(子ども家庭福祉)は「支援策が充実するのはもちろん意味があるが、近隣の自治体間の競争が激しくなればなるほど、少しでも後れを取った地域の子どもが減ることにつながる。国や都道府県がより大きな観点から少子化対策を打ち出すことが重要だ」と話している。
引用元:
どこ住む? 自治体競争時代 子育て支援 きめ細かさアピール