先週娘の幼稚園の入園式がありました。花壇に色とりどりのお花が咲いていて、大きな木がたくさん生えた素敵(すてき)な幼稚園です。娘は知らない子供たちがたくさんいるので戸惑っていましたが、これから楽しい生活が始まるといいなと思います。入園式の日はとても寒く、すっかり風邪を引いてしまって咳(せき)がなかなか止まらず、体力を消耗しています。そんな中でも全く腹圧性尿失禁が無いので、ガスケアプローチってすごいなと実感しています。



 先日の読売新聞の記事です。

新型出生前検査、病気判明の83%が中絶

 妊婦の血液を採取して胎児の病気を調べる新型出生前検査について、共同研究組織「NIPTコンソーシアム」は10日、2013年4月の開始から昨年9月までの1年半に1万2782人が検査を受けたことを明らかにした。

 病気の疑いがある「陽性」と判定されたのは1・7%の219人で、羊水検査などで201人が胎児の病気とわかった。このうち83%にあたる167人が人工妊娠中絶を選択した。妊娠継続を望んだ妊婦は4人。26人が流産・死産した。

 昭和大の関沢明彦教授は「中絶を選択するケースが多いが、夫婦でよく考え、染色体の病気があったら育てるのが難しいと判断した人が新型検査を受けている結果とみられる」と話す。

 国内では、同組織以外の医療機関でも検査が行われ、これまでに計約2万人が検査を受けた。

 現在、検査の対象はダウン症など三つの病気に限られているが、同組織の有志は、性染色体の病気など、新たに3項目の検査を加えるよう、日本産科婦人科学会に要望書を提出している。同学会は今後、小委員会を設置し、これまでの新型検査の進め方などを検証し、検査対象を拡大するか慎重に検討する。

(2015年4月12日 読売新聞)

「親になる覚悟が無い・人殺し」との価値観、今でも
 臨床研究との名目で始められた新型出生前検査(NIPT)ですが、もうすでに1万人を超える妊婦が検査を受けたとのことです。陽性との結果だった人の8割以上が人工妊娠中絶を選択したとのことですが、昭和大の関沢明彦教授の「中絶を選択するケースが多いが、夫婦でよく考え、染色体の病気があったら育てるのが難しいと判断した人が新型検査を受けている結果とみられる」との言葉の通りだと思います。

 私は臨床で出生前検査に関わる仕事をしているので検査に対する妊婦さんや家族の意識や意見を伺う機会が非常に多いのですが、かかりつけの産科医に「出生前検査=命の選別=親になる覚悟が無い・人殺し」との価値観を押し付けられ、その件については相談することができなくなったというケースが今でも後を絶たず、新型出生前検査の報道と実質上の実用化をきっかけに、妊婦さんたちの間に「出生前検査に関しては、専門施設を受診して、かかりつけの産院でできるものの範囲を超えた選択肢を持って良い」という認識が広まったことは良かったと言えるのではないかと思っています。

年齢制限は無くしてもいいのでは…
 しかし、新型出生前検査は、受けたいと願う人のうち恵まれたわずかな人しか受けられていないのが現状です。実質上35歳以上でないといけない、予約が非常に取りづらい(かかりつけの産科医が電話しないといけないところもあり、医師にとっても大きな負担です)、夫婦そろって遺伝カウンセリングを3回受けないといけない、20万円前後という重い費用などから、受けたくても受けられない人が多いです。

 現在、新型出生前検査の対象となっている21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーは確かに年齢とともに授かる確率が上がる染色体異常ではありますが、若い妊婦でも確率はゼロではないし、実際に生まれてくるこういった病気の赤ちゃんの総数は34歳以下のお母さんからの方が多いため(妊娠する人口が多いから当然ですが)、34歳以下の妊婦さんにも新型出生前検査を受けるという選択肢があってもいいのではないかなと思います。もともと実質上35歳以上とした背景には、この検査を若い妊婦が受けた場合は陽性と出た場合に本当に染色体異常がある確率(陽性的中率)が高齢の場合よりも劣る、ということがあったのですが、確定診断のための羊水検査がそれなりに徹底されている現状をみると、年齢制限は無くしてもいいのではないかなというのが個人的な意見です。昨今の報道で、染色体異常=高齢出産のリスクのような認識が広がっており、若い妊婦が自分には無縁だと思ってしまったり、何歳であっても正常染色体の子どもを授かる確率の方が圧倒的に高いにもかかわらず、染色体異常児を授かる事を「高齢だから自己責任」というような風潮ができてしまっているのが歯がゆいためです。

新たな3項目の検査追加要望、かなりの難問では
 また、NIPTコンソーシアムの有志が、男児だけに発症するデュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの病気の可能性を調べるための性別判定、性染色体の数異常によるターナー症候群などの病気、染色体のわずかな欠損で起こる病気の新たな3項目を追加するよう日本産科婦人科学会に要望書を提出しているとの報道もありましたが、なかなか難しい問題となるのではないでしょうか。

 性染色体の数を検査すると、ターナー症候群、クラインフェルター症候群や、XXX症候群、XYY症候群など、自立して生活出来て、重いとは言えない染色体異常が分かってしまうばかりか、単に性別判定もできてしまうので議論が難しくなります。

 こういった報道ではよく「遺伝カウンセリングの普及・向上を」と言われますが、実際のところ施設やカウンセラーによって差異はあるようです。現実問題、検査を受ける前に何度もカウンセリングをするよりも、結果が陽性と出てからのカウンセリングやサポートの方が重要だと思うので、今後に向けてそのあたりの報告も待ちたいです。



引用元:
受けたくても受けられない?ハードル高い新型出生前検査 (ユミドクター)