「妊婦姿」で世界一周の旅を続ける男子学生がいる。北大医学部3年生の箱山昂汰(こうた)さん(21)。妊娠や出産の正しい知識を伝えようと、旅先で重さ10キロほどの妊婦体験ジャケットを着けて語りかける。「世界中のお母さんを幸せにしたい」という思いが、旅の原点だ。

 「私が着けているのは妊娠を体験できるジャケットです。パートナーやお母さんの気持ちを知るために、あなたも着けてみませんか」。3月上旬、ベトナム語で書いたスケッチブックを手に、ハノイの路上に立った。興味津々でジャケットを着けた現地の男性は、床からものを拾おうとして「すごく重いね」。その驚きと格好をきっかけに、妊娠中の注意について、周りの人たちとも会話が弾んだ。これまでにジャケットを着けてくれた人は100人を超えた。

 母子保健に携わる小児科医として、国際的に働きたいという夢を持つ。「学生の間にしかできない経験を積みたい」と大学を休学、2月に日本を出発した。中国から入り、ベトナムやインド、アフリカなど途上国を中心に1年以上をかけて世界を回る予定だ。費用はアルバイト代と、インターネット上などで資金を募るクラウドファンディングを活用した計約150万円。妊婦体験による交流のほか、学校や集会で母子保健の授業にも参加したいという。


引用元:
妊婦体験ジャケット、着けてみて 医学部生が世界を回る(朝日新聞)