前回、いつのタイミングで不妊診療施設を受診したらよいか、お話しました。今回は、受診してからについてお話します。これは第16回「不妊治療の流れ」も参考にしてください。もう少し容易に理解できるように、詳しく、少しずつお話しします。
受診の際は、できれば3か月分ぐらいを記載した、基礎体温表を持参してください。また、ご夫婦で一緒に受診してくださると助かります。不妊の原因は男女の両方にありますし、その割合も、半々ぐらいだとするデータがあります。また、妊娠するためには夫婦二人が協力しないと成立しないのですから、夫婦が子どもを得ることに同じ気持ちであることがとても大切になります。
受診されると、まず今までの月経歴や流産の経験も含めた妊娠出産歴をお聞きします。また、不妊に関わる病気を今まで経験されていないかをお聞きします。
具体的な例としては、女性についてはお腹を開ける手術(子宮や卵巣の病気だけでなく、虫垂炎の手術や胃腸など消化器の病気の手術など)、子宮内膜症の診断、ヘルニア手術、クラミジア感染症を含む性病などをお聞きします。また、男性ではヘルニア手術やおたふくかぜの既往、クラミジア感染症を含む性病などが含まれます。
次に検査です。不妊の検査もたくさんありますが、最初に行う検査としては大きく分けて3つあります。一つはホルモン検査です。あとの2つは子宮卵管造影検査、性液検査です。この検査のどれかに異常があると、その原因に合った治療が行われます。また、この初期検査で異常を認めない場合は、もう一度、排卵時期に合わせたタイミングを数回取っていただきます。
今回は、ホルモン検査についてお話します。月経周期が乱れていればなおさらですが、月経が周期的に正常に来ていても、ホルモンを測定することは大切です。
月経周期の第3〜5日目ぐらいに、卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体化ホルモン(LH),プロラクチン(PRL)を測定します。これらのホルモンは大脳の下にある下垂体という場所から分泌されるホルモンで、卵胞の発育、排卵、黄体の維持に関わります。
FSHは名前の通り卵胞の発育を促すホルモンです。LHは発育した卵胞から卵子を排卵させる役割と、排卵後の卵胞を黄体化させ、黄体での黄体ホルモンの産生を促します。それ以外にも、卵胞期の卵胞発育、特に発育のごく初期や排卵前の卵胞発育にも重要な役目を担っていることが最近わかってきました。PRLは乳汁分泌に関わるホルモンですが、この値が高いと、卵胞が発育しなくなります。PRLが高値になる原因として、下垂体腫瘍や胃腸薬や精神作用の薬などがあります。ですので、そのような薬を服用している方は、PRLを測定しておくことが大切になります。
次回もホルモン検査のお話を続けます。


引用元:
男女で知って欲しい「妊活」《39》 不妊の検査 (朝日新聞apital)