大阪市生野区に高齢者と乳幼児を一緒に受け入れる施設がある。認可外保育園を併設する高齢者向けデイサービス施設「あでらんて」。

 運営する西村洋三さん(51)が、乳幼児からお年寄り、障害者など様々な人が利用できる富山県発祥の「富山型デイサービス」に共感し、取り組みを始めた。こうした施設は全国に広がりつつあり、大阪市も導入の検討を始めた。

 2月の昼下がり、2歳から100歳の利用者計約10人が絵本の読み聞かせに耳を傾けた。お年寄りが懐かしい歌謡曲を口ずさむと、2歳児らが太鼓をたたいてはしゃいだ。

 80歳代の女性は「子供と遊べば元気をもらえる」と言い、2歳の孫を預ける池永啓子さん(64)は「お年寄りが子供をあやしてくれるおかげで、人見知りをしなくなった」と話す。

 高齢者や乳幼児を一緒に受け入れる「富山型」の施設は、富山市の惣万佳代子さん(63)らが1993年に開いた「このゆびとーまれ」が始まり。デイサービス施設は通常、介護保険法に基づき高齢者が対象だが、お年寄りや子供、障害者らが自然に触れ合うことで、ケアの効果が高まるとして注目された。

 富山県などは2003年、高齢者のデイサービスを障害者や障害児も利用できる事業の推進特区として申請。国はこれを認め、06年には特区認定を受けなくても事業ができるよう全国自治体に通達し、各自治体の判断で設置できるようになった。

 生野区でデイサービス施設を運営していた西村さんは10年に区内の仲間と惣万さんを招いた講演会を開いたのがきっかけとなり、11年1月、「地域共生ケア生野推進委員会」を結成した。地域の有志と富山の施設を視察し、利用者が大家族のように過ごす姿に心打たれ、「生野区でもやりたい」と市に働きかけるとともに、2年前に認可外保育園を開いた。

 大阪市は従来、高齢者など各福祉サービスが整備されているとして、富山型の申請を認めてこなかった。しかし、同委員会の働きかけもあり、14年12月、地域の要望がある生野区に限り、試験的に事業の申請を認めることにした。市は今後、同区の事業所の取り組みを検証し、市全域で導入するか検討する方針だ。

 あでらんては、同区内の障害者支援団体などと農園での作業などで交流を深めている。西村さんは「介護や育児で困ったら駆け込める場所になればと思う。ここを拠点に住民同士で支え合える地域づくりを目指したい」と話している。(斎藤七月)

(2015年4月8日 読売新聞)



引用元:
乳幼児も一緒、デイサービス…保育園併設施設 (読売新聞)