モンゴルで母子健康手帳を試験的に導入したところ、妊婦の合併症発見率の向上や受動喫煙の減少に役立ったとする研究成果を、国立成育医療研究センターの森臨太郎・政策科学研究部長らのチームが8日、発表した。母子手帳の健康への寄与が科学的に証明されたのは初めてという。
 研究チームは2009〜10年に、モンゴルのある県の中で、母子手帳の使い方を指導し配布する9村(妊婦253人)と、そうしない9村(同248人)に無作為に分けて、比べた。その結果、手帳の配布を受けた村の方が、規定回数の妊婦健診を受ける傾向があり、高血圧や糖尿病など出産リスクになる合併症の発見率が2・5倍となったほか、妊娠期間中に家族が喫煙をする割合が16%減るなどの効果が確認された。
 森さんは「世界には死亡する妊産婦や新生児がまだ多くおり、その対策の一つとして、日本発の母子手帳の導入を国際協力で広げたい」と話している。
 成果を受け、モンゴルでは現在、全国で母子手帳を配布する政策を始めているという。


引用元:
母子手帳、モンゴルで「有効」 日本チーム調査(朝日新聞アピタル)