政府が設置を推進している、幼稚園と保育所の機能を持つ「認定こども園」が、4月1日時点で全国2829園となり、前年同期比で約2倍に増えたことが、全都道府県への毎日新聞の取材で分かった。一方、既に受けた認定を返上し、幼稚園などに変更したこども園は126園で昨年4月時点の1割に上った。認定こども園は1日スタートした「子ども・子育て支援新制度」の目玉の一つ。新制度移行後の園への運営補助金額の決定が遅れたことなどが、こども園への移行見合わせや認定返上を招くと懸念されていたが、その影響が浮かんだ格好となった。

 都道府県別の園数は、最多が大阪府の287園で、前年の51園から5倍以上に急増した。次いで兵庫県が230園で、112園増。兵庫県は昨年度から、こども園に移行する園に、準備に必要な事務経費の一部を独自に補助している。今春、3保育所をこども園に移行した社会福祉法人神戸YMCA福祉会の小沢昌甲(まさき)常務理事は「移行準備のため事務職員を雇用したが、人件費の一部が賄えた」と話す。

 設置数が少ないのは、沖縄県の5園、三重県の8園だった。

 昨年4月までに認定を受けたこども園のうち、返上数が最も多かったのは東京都で26園。返上数が新設数を上回り、総数は昨年4月より10園減の93園だった。こども園が減少したのは都と福島県(1園減)のみ。都の担当者は「新制度で減収になると見込まれた園が多かったほか、新制度上の認定こども園になると、園児の選考に制約が増えることから、返上を選択した園も多い」と話す。

 政府は昨年5月、新制度でこども園などに支出する運営補助金(公定価格)案を公表した。従来と仕組みが違い、定員規模が大きい園ほど園児1人当たりの補助額が減る設定になった。このため、こども園の一部から「現行より大幅減収となる」と、認定の返上を検討する動きが出た。

 これを受け、政府は同10月末、補助金案を改善する方針を決めた。しかし、予算編成が遅れたことで運営補助金の確定が2月にずれ込んだことなどから、認定の返上を止められず、移行を見合わせる幼稚園なども多かった。

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引用元:
認定こども園:1年で倍増 補助金決定遅れで認定返上1割 (毎日新聞)