すっかり暖かくなり、日差しも強くなってきました。娘は公園をエンドレスで走り回るのが好きで、私はオオカミの役をさせられ、息も絶え絶えです。これからやってくる暑い季節を思うと憂鬱(ゆううつ)ですが、のびのび遊んでいる子どもを見ると「健全でいいなあ」と癒やされます。
吉村医院の元助産師長招き「自然なお産の里」づくり
さて、こちらで取り上げるたびに反響が大変大きい「自然出産」の吉村医院ですが(死は悪いことではない!?「自然出産」に違和感、「真実のお産」で本当の女に!?私はごめんです、吉村医院の「自然出産」、メディア受けする理由)、吉村正院長が高齢で引退されたこともこちらでお伝えしました。
このたび新聞記事で、鳥取県智頭町が吉村医院の元助産師長である岡野真規代さんを招いて「自然なお産の里」づくりに乗り出すということを知りました。鳥取県智頭町は岡山県との境に位置し、町の93%が森林に占められていて自然が豊富だということで、吉村医院(こちらはそれほど大自然の中にあったというわけではないそうです)で行われていたような薪(まき)割りや畑仕事も行うそうです。
「自然出産」については過去の記事にいろいろ書きましたが、今回私が衝撃を受けたのは行政が「自然出産」を推進するということです。産科医、新生児科医、麻酔科医はどの程度常駐し、緊急時にどこまでの医療介入ができるのか。鳥取県智頭町は交通の便が良いとは言えず、基幹病院へ搬送する際のタイムロスは命取りになる危険を孕(はら)んでいます。また、緊急搬送の受け入れを依頼する基幹病院のスタッフたちにはどの程度説明され承諾を得ているのかも気になります。町おこしのためにはいろいろなアイデアがあると思いますが、行政が取り組むものとしては人命に関わるリスクが大きすぎるように思います。
カルトまがいを信じていることも…
そして、自然出産に引かれて移住する人というのはどのような方たちなのでしょうか。いくつかの離島で勤務する産科医師たちに話を聞いたことがあるのですが、離島には自然出産を求めて本土から移住して来る人が結構いるそうです。そして、医療を拒否したり元々の住民とうまくいかなかったりする例は珍しくないとのことでした。自治体の未来につながるアイデアなのか見届ける必要がありそうです。
今回のような例はさすがに特殊な例であるためネット上でもかなり話題になっていましたが、医療や医学の専門家からみると首をかしげたくなるような説や団体に教育や福祉を外注していたりすることは、私が見つけたものだけでもいくつかありました。例えば近年産後ケアに対する関心が非常に高まっていますが、逆に母体を傷つけてしまう「ケア」や医学的に誤った「母乳育児指導」がなされていたりしてとても残念な気持ちになります。背景には適切なケアの担い手が不足していることもありますが、行政や政治に関わる方に知識が不足していたり適切なアドバイザーがいなかったりすることも原因なのではないかと思います。
医療や教育、さまざまなケアの中には、行政が直接関わるものが多くあります。行政の現場の人間の理解が不足していたり、カルトまがいのものを信じていたりすることもあるので、内部のチェックや第三者からの指摘が機能するようにしていただきたいものです。
引用元:
衝撃!「自然出産」行政が推進…命に関わるリスクも(ヨミドクター)