小児科が担当するのは、一般的に生まれてから中学生ごろまでと思われている。だが、私たち小児科医は、まだ母親のおなかにいる胎児から成人になるまでが担当するべき範囲だと考えている。
この間、子どもは新生児期から乳児期を経て、幼稚園、小学校、中学校、高校、さらには大学などへ進み、社会人として旅立つ。小児科医は、生後2カ月からのワクチン接種に始まり、健診による発育や発達のチェック、感染症などの治療にかかわり、家族への育児指導や子育てへの不安に対応するなど、子どもの生活環境にも密接にかかわっていく。
近年の核家族化に伴い、子どもを初めて持つ親たちにとっては、子どもを巡るすべてが初めての経験であり、新しい経験の連続に戸惑う。親たちの不安を解消することは、小児科医の重要な役割だ。
また、小児科医は子どもの年齢に応じた発育や発達の評価、適切な保健指導、感染症や心臓、腎臓、内分泌、免疫、アレルギーなど様々な病気に対応しなければならない。そのために鍛錬を重ねているが、湿疹や中耳炎、結膜炎などといった小児科領域以外の病気にも対応できるよう、教育を受けている。
身体的な病気だけでなく、発達障害や不登校、虐待など、心の問題にも適切な対応が必要になる。子どもが心身ともに健やかな発育や発達をするためには、子どもの家庭や社会環境の整備が重要で、小児科医はスマートフォンやメディアをめぐる問題、虐待やいじめなどの対策にも取り組むことが求められる。つまり、私たちは「子どもの総合医」というような存在にならなければいけないのだ。
日本小児科医会は1999年から「子どもの心相談医」という資格をつくって毎年研修会を行っている。北海道には、その研修を受けて認定を受けた23人の子どもの心相談医がおり、同小児科医会のホームページ(http://www.jpeda.or.jp/soudanimeibos/index2/)で確認ができる。
引用元:
心もケア「子どもの総合医」に