閉経後の女性ホルモンの補充療法は、一部の認知能力や嗅覚の維持にプラスの影響をもたらすと分かった。
女性ホルモンと嗅覚に関連はあるのか?
米国ペンシルベニア大学の研究グループが、加齢に伴う神経疾患の専門誌ニューロバイオロジー・オブ・エイジング誌で2015年3月11日に報告した。
においを正しく感じられなくなる「嗅覚障害」は、初期のアルツハイマー病のサインである場合がある。閉経後の女性に女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」は、アルツハイマー病を防ぐ効果もあると言われているが、果たしてこれは嗅覚障害も防いでいるのだろうか? 研究グループは今回、それを検証した。
対象者は、閉経後にホルモン補充療法を受けたことがある健康な女性432人。このうちの77人は、アルツハイマー病の発症リスクを上昇させるとして知られている「APOE-ε4」という遺伝子型を持っていた。
対象者全員に、3つの嗅覚テストと12の神経認知テストを受けてもらった。また、血中の性ホルモンの濃度を測定した。これらを比較して、ホルモンと嗅覚および認知能力の関連性を検証した。
認知症にも嗅覚にも効果あり
結果、認知症に関連した知能指数(IQ)を推定するテスト「NART」と、記憶と識別能力を頼りにしてにおいをかぎ分けられるかどうか調べるテスト「OMT」は、ホルモン補充療法を受けた人でスコアが良かった。ホルモン補充療法は、知能にも嗅覚にも効果があったというわけだ。
また、「回想テスト」のスコアが悪く、軽度の認知症と予想された人は、OMTのスコアも悪かった。これにより、認知症は嗅覚障害につながっていると確認できた。
地図や絵を使った空間認知能力のテスト「WAIS-R NI」は、女性ホルモン「エストロゲン」「プロゲスチン」の同時補充療法を受けている女性でスコアが高かった。
また、女性も少量の男性ホルモン「テストステロン」を分泌しており、閉経後も出し続けている。「WAIS-R NI」のスコアは、血液中のテストステロン値が高い人ほど良かった。つまり、テストステロンが空間記憶にプラスの効果を与えていると分かった。
さらに、アルツハイマー病の危険因子である「APOE-ε4」遺伝子型を持つ人よりも、持たない人の方が、「においの閾値テスト」のスコアが良く、よりうすいにおいを検知することができた。
においを正しく感じられるか。あらためて気にしてみると良いかもしれない。
引用元:
閉経後のホルモン補充療法、「認知症」「嗅覚障害」の予防にも