頭痛や生理痛の薬として、世界中で服用されているアセトアミノフェン。国内でも「ノーシン」や「バファリンルナ」、「タイレノール」などの市販薬に含まれている成分だが、妊娠中に服用すると子供が注意欠陥・多動性障害(ADHD)になる危険性が高まるとのデンマークでの研究結果が、2月24日発行の米医学誌「JAMA Pediatrics」(電子版)に報告された。ADHDは落ち着きなく動き回る、集中できないなどが特徴の病気で、子供の精神疾患としては最も多いといわれている。

重度ADHDが1.37倍
 最近の動物およびヒトの研究から、アセトアミノフェンは内分泌かく乱性を有すること、また出生前の内分泌かく乱物質への曝露が、出生児の神経発達に影響し行動障害の原因になることが示唆されている。

 研究を行った米カリフォルニア大学ロサンゼルス校公衆衛生学部のZeyan Liew氏らは、1996〜2002年にデンマークで登録された妊婦6万4,322人を対象に、アセトアミノフェン服用と子供のADHDとの関連について調べた。

 その結果、母親の半数以上が妊娠中にアセトアミノフェンを服用しており、服用した母親の子供では、5歳のときに多動性障害(ADHDの重症型)と診断される割合が1.37倍、薬によるADHDの治療を受ける割合が1.29倍、7歳のときにADHDと思われる行動をする割合が1.13倍になることが分かった。

 こうした危険性は、服用している期間が長い、または頻繁に服用しているほど高まる傾向にあったという(妊娠初期〜後期を通しての服用で1.57倍、20週間超の服用で1.46倍)。

内分泌攪乱作用が原因か
 アセトアミノフェンは、ホルモンの作用に影響を与える「内分泌攪乱(かくらん)性」を持つことが分かってきている。また、胎児のときに内分泌撹乱物質(環境ホルモン)にさらされると神経の発達に影響し、ADHDなどの行動障害を招く原因になると指摘されている。

 そのことから、Liew氏らは「母体が服用したアセトアミノフェンは、胎盤を通過して胎児にまで届く。アセトアミノフェンの内分泌攪乱作用が母体ホルモンを妨げることなどによって、脳の発達を妨げる可能性がある」と考察。さらに「今回の結果が因果関係を反映しているならば、アセトアミノフェンは妊婦に安全な薬と考えるべきではない。しかし、さらなる研究が必要だ」と結論している。

 英カーディフ大学のMiriam Cooper氏は、同日発行の付随論評(電子版)で「今回の研究結果は慎重に解釈されるべきで、これまでの診療を変えてはならない。しかしながらLiew氏らは、妊娠中に使える医薬品は安全だと思い込まないことの重要性を明確にし、アセトアミノフェンの服用と神経発達との関係を探り、さらに関連の解析を行う基盤を提供した」とコメントしている。



引用元:
妊娠中の頭痛薬服用で子供がADHDになる恐れ デンマーク研究(kenko100)