妊娠や出産を理由にした嫌がらせ「マタニティー・ハラスメント」の被害者を支援する取り組みが認められ、今月、米国務省による「勇気ある国際的な女性賞」を受賞した。日本人では初めてだ。
 美大を出て、大手広告会社に就職。深夜の会議や徹夜は当たり前の職場で、出産した女性の先輩もいなかった。このままでは未来が見えないと思い、転職した。
 しかし、次に契約社員として働いた会社でマタハラに遭った。妊娠すると、上司が自宅に来て「子育てに専念するのが君のため」と辞職を迫った。その後流産。おなかの新しい命も、仕事も失った。
 「普通に働きたいだけなのに」。怒りがこみ上げた。妊娠や出産が「良くないこと」とされている日本の企業社会の方が、おかしい。声をあげようと決めた。
 昨年7月、被害者たちでマタニティハラスメント対策ネットワーク(マタハラNet)を立ち上げた。名前と顔を出して被害を語り、実態を発信している。
 2年前に結婚した夫は、全面的に支えてくれている。「私と結婚して損したと思うでしょ」と聞くと、「こんなに見ていて飽きない女性はいない」と返ってきた。
 受賞後にミシェル・オバマ米大統領夫人が抱きしめ、励ましてくれた。マタハラに悩む女性からの相談のメールは後を絶たない。やることはまだ、たくさんある。
 (文・岡林佐和 写真・早坂元興)
(朝日新聞 2015年3月25日掲載)


引用元:
「勇気ある国際的な女性賞」を受賞した小酒部さやかさん (apital)