米国エール大学は卵巣と卵管の切除の影響についてコメントを3月24日に発表した。

 女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳房切除から2年にして、卵巣と卵管の切除にも踏み切ったと同日に発表したことを受けたもの。

卵巣がんの兆候
 エール大学の報告によると、アンジェリーナ・ジョリーは、卵巣がんの兆候を血液テストから察知。手術を決断したという。

 エール大学の産科婦人科のエレーナ・ラトナー氏は、「卵巣がんの遺伝的なリスクを持っている人であれば、卵巣や卵管の切除は標準的な選択肢である」と説明。その上で、「卵巣と卵管を取ると、直後に閉経後の状態に変化をする。リスクを抑制する手術が必要かは個別に判断すべき問題になる」と解説する。

 卵巣は女性ホルモンを作り出しているため、取り除くと更年期症状と同じ状態が生じてくる。骨密度が落ちたり、記憶力が落ちたり、性欲が減退したり、心臓や血管の病気になりやすくなったりする。そうした影響について理解した上で手術を判断することになる。

 手術の後は、更年期症状が生じないような対応も必要だ。

若い段階では卵管だけとる手も
 一方で、産科婦人科の教授、ジル・モル氏は、最近の研究に基づいて、卵巣がんになりやすいのは、卵巣から出て、卵管に出ている細胞と分かってきたと紹介。「閉経後であれば、卵巣を取ってしまうのが適切である一方で、より若い段階では卵管だけ取るのも良い」と説明をする。

 卵管だけ取るのであれば、卵巣は残る。卵巣を取ると、通常は10年近くをかけて進む更年期の状態が24時間以内に一挙にやってくる。こうした変化を避けられる可能性はある。

 2年前に乳房切除が注目されたように、卵巣と卵管の切除にも関心は集まりそう。エール大学のコメントは参考にしたい。

文献情報
Preventive cancer surgery to remove ovaries and fallopian tubes: Yale experts provide insight.

http://news.yale.edu/2015/03/24/



引用元:
卵巣切除は手術後24時間で更年期状態、エール大学がコメントを発表 (Medエッジ)