千葉市動物公園(同市若葉区)が、飼育しているボルネオオランウータンに人工授精を実施した。成功すれば、国内初。同園にとってもメスのナナが生まれて以来、四半世紀ぶりの赤ちゃん誕生となり、関係者の期待が高まっている。


 ボルネオオランウータンは東南アジアのボルネオ島に生息。近年は熱帯雨林の伐採や開発で生息地が減少し、急速に数が減っているという。国内では12園で35頭が飼育され、同園ではナナ(24歳)とオスのフトシ(27歳)2頭を飼育している。


 ナナとフトシは16年間同居してきたが、相性が合わなかったのか、繁殖行動は見られなかった。2013年からは、人工授精も視野に入れ、フトシの精子を検査するなどの取り組みを始めた。人間の不妊治療の技術をオランウータンの人工繁殖に応用する研究をしている名古屋市立大大学院医学研究科の尾崎康彦准教授(産婦人科学)から技術協力の申し出を受け、1月に正式に実施を決定した。


 10日、尾崎准教授の立ち会いの下、フトシから採取した精子をナナに人工授精した。1、2カ月で妊娠の有無を確認できるという。


 オランウータンの人工授精は昨年5月、アメリカの動物保護センターが世界で初めて成功させたが、国内では大阪市の天王寺動物園と神戸市の王子動物園で9回試み、いずれも失敗している。


 オランウータンの平均寿命は約50歳だが、40歳くらいで出産したケースもあるという。同園は「希少動物の繁殖を成功させたい」と期待している。【味澤由妃】


引用元:
<千葉>オランウータンに人工授精 ベビー誕生なら国内初(BIGLOBEニュース)