大腸がん、乳がん、精巣がんで、診断時点の年齢別、および診断後の経過年数別に平均余命を見積もることに成功した。がんサバイバーが充実した生活を送っていくために、また1つ有意義な情報が提供できそうだ。
イタリアの国立がん研究所の研究グループが、欧州腫瘍内科学会が発行するアナルズ・オブ・オンコロジー誌のオンライン版で2015年3月3日に報告した。
より充実した生活を送るための情報として
がんを経験した本人を「がんサバイバー」と呼ぶ。また、「がんサバイバーシップ」とは、がんサバイバーが充実した生活を送るために、家族、ケアをする人なども含めて直面する課題を協力して乗り越えながら生きていくことを指し、その重要性に対する認識が年々強まってきている。
がんサバイバーシップの一環として、がんと診断されたときの年齢別および診断後の経過時間別に「平均余命」が見積もれれば、がんサバイバーの残された時間や体調管理などを考える目安にできる。
そう考えた研究グループは、今回、乳がん、大腸がん、精巣がんの3つのがんで、平均余命の見積もりに挑戦した。
研究グループは、一般的な生命表(生存率や余命を示した表)の作成に用いられている方法を、がんで増加している死亡リスクの見積もりに応用することにした。また、データは、SEERプログラムという米国のがん登録制度に登録されたデータのうち、1985年から2011年までにがんと診断された人のものを用いた。これを一般の米国人の死亡率のデータに適用し、がんにおける平均余命の見積もりを行った。
その後、それぞれのがんについて、見積もった平均余命を評価した。
大腸がん、乳がんでは若いほど短かった
大腸がんのうち、45歳〜49歳の若い人での平均余命は、女性11.2年、男性10.7年と見積もられ、一般的なその年齢の人の平均余命よりも短かった。
一方で、60歳〜64歳の高齢者では、女性6.3年、男性5.8年となっていた。若い人ほどには、一般的な平均余命との差はなかった。
また、大腸がんでの平均余命と一般的な平均余命を比べてみると、大腸がんでは、診断から1年後までの間では短かった。病気の診断から時間が経過すると平均余命は長くなる傾向があり、一般的な余命ほどには延びなかったものの、1年目から4年目まではゆっくりと延びた。4年目以降は再び短くなっていくが、長く生きて年を取れば一般の人の平均余命に近づいていた。
乳がんで見積もられた平均余命は、40歳〜44歳の若い女性では8.7年とやはり一般的な平均余命に比べ短かった。一方で、70歳から74歳の高齢の女性では2.4年と、大腸がんと同じように、一般的な平均余命との差がなくなった。
また、乳がんの場合は診断から1年後まででは平均余命は大腸がんほど短くはなかった。その後、長く生きるにつれ、徐々に一般の女性の平均余命に近づいていた。
30歳で精巣がんと診断された男性の平均余命は45.2年と見積もられた。これは一般的な同年齢の男性の平均余命よりも2年短かったが、他のがんに比べるとそれほど平均余命が短くなっておらず、その後を追って一般的な男性の平均余命と比べても、ほぼ差がなかった。
今回の研究で見積もりに成功した、がんにおける平均余命は、がんサバイバーに有意義な情報を提供できると見なせた。今後、がんを克服したと見なせる時点を判断する場合などの助けになると研究グループは述べている。
引用元:
「大腸がん」「乳がん」「精巣がん」、年齢別に平均余命の見積もりに成功(Medエッジ)