女性ならば、「最近おりものが多い」「下腹部が痛む」といった症状を感じたことはあるだろうか。実はこれらの症状はSTD(性病・性感染症)のサインかもしれないのだ。

今回は、女性には自覚症状が無い場合も多い「性器クラミジア感染症」と「淋菌感染症」の症状や予防法、治療方法などについて、STDの郵送検査キットを販売するアルバコーポレーションの萬田和志社長に話を伺ったので紹介しよう。

○クラミジアに感染すると、HIV感染リスクも増加

萬田社長によると、「いつもよりおりものが多い」「下腹部の痛み」などの症状から疑われるSTDには、「性器クラミジア感染症」と「淋菌感染症」があるという。

性器クラミジア感染症

「クラミジアトラコマティス」という病原体を原因とする病気で、単に「クラミジア」と呼ばれることもある。感染者との粘膜同士の接触や精液、腟分泌液を介して感染するため、セックスやオーラルセックス、アナルセックスなど、あらゆる性行為で感染の可能性がある。

またクラミジアに感染していると、粘膜が炎症を起こした状態になり、抵抗力が落ちてHIV(エイズの原因ウイルス)に感染する可能性が3〜5倍も高くなるとされている。

淋菌感染症

「淋菌」を原因とする病気で、「淋病」とも言われる。感染経路は性器クラミジア感染症と同様で、あらゆる性行為で感染の可能性がある。特に近年では、オーラルセックスで咽頭(のど)に感染する例が多くなっている。

■症状

女性の場合は、「おりものの増加」「不正出血」「下腹部の痛み」「性交時の痛み」などが主な症状。オーラルセックスで咽頭(のど)に感染すると、「のどの腫れ、痛み」「発熱」などが起こることがある。どちらも子宮頸管へ感染して子宮頸管炎を起こす。感染が広がって、骨盤内にまで炎症が広がることもある。

女性の場合は、これらの感染症に感染しても症状を感じないことが多い。気づかないまま放置すると、「卵管炎」を起こし、子宮外妊娠や不妊症などの原因にもなるため、注意が必要だ。

「女性の不妊症のうち、『卵管』に原因があることが30〜40%と最も多く、そのうちクラミジア感染が原因となっているのが60%以上と言われています。症状からは感染に気づきにくいため、不妊で受診して初めてクラミジア感染がわかるという例もあるようです。予防できなかった性行為があるなら、症状を感じていなくても検査を受けることが大切です」。

○抗生剤で治療し、必ず再検査を

性器クラミジア感染症は発症まで1〜3週間、淋菌感染症は2〜7日ほどが一般的とされている。どちらも検査自体は、感染した可能性があった日から2〜3日経っていれば可能。もし感染が認められたら1〜7日間、抗生剤で治療する。性器クラミジア感染症では服薬、淋菌感染症では筋肉注射や静脈注射などを行う。

また、正しく服用しないと不完全治癒の可能性もあるので、治療後に再度検査を受け完治を確認することが好ましい。性器クラミジア感染症の場合は、治療終了後から3〜4週間後、淋菌感染症の場合は、治療後3日以降に再検査するのがベストだ。

「特に淋菌感染症は、抗生剤が効かない耐性菌の問題もありますので、医師の指示に従って治療を受け、完全に治すことが大切です。オーラルセックスで咽頭(のど)に感染しても、症状を感じることは少なく、気づかないままパートナーへの感染源になることもあるようです。オーラルセックス時にも、必ずコンドームを使用してください」。

女性は自覚症状が無いことが多いので、少しでも違和感を覚えたら、まず検査してみることが大切だ。いきなりの検査に抵抗を感じる場合は、自分で検査できるキットを使うという選択肢もある。


引用元:
不妊症の原因にも - 女性のおりものに変化が現れる性感染症とは(BIGLOBEニュース)