幼児のいる家庭で、新年度を前に確認しておきたいのが予防接種の接種状況。ワクチンの種類や回数が増え、うっかり「忘れていた」というケースも。定期接種だけでなく、自費で受ける任意接種もあるので複雑だ。NPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」理事で、すがやこどもクリニック(東京都板橋区)院長の菅谷明則さん(58)らにチェックポイントを聞いた。

◆水痘ワクチン、接種2回を推奨
 まず、昨年十月から定期接種化された水痘(みずぼうそう)ワクチン。対象は一、二歳児だが、経過措置で今月末までは三、四歳児も、原則一回は定期接種で受けられる。

 「定期接種の対象者以外は任意接種になるが、水痘ワクチンは二回目の接種が必要」と菅谷さん。二年前、菅谷さんが水痘の流行した東京都内のある幼稚園を調べると、園児七十四人のうち約半数の三十六人が感染。未接種の十一人は全員、一回接種した人のうち二十五人が発症し、二回接種していた五人は発症しなかったという。

 「一回接種の有効率は50%程度。二回接種しても感染はあるが発症率は下がり、発症時の合併症も減少する。みんなが二回接種すれば、流行は防げるはず」

 次に忘れがちなのが、MR(麻疹風疹混合)ワクチンの第二期の定期接種。「麻疹(はしか)はフィリピンなどから持ち込まれ、感染する例が増えている。小学校入学前には忘れずに」と菅谷さん。

 おたふくかぜは一、二回目とも任意接種。「ワクチンの効果は五年ぐらいで低下し始めることがある。二回目の接種をMRワクチンと同時接種するのがお勧め」という。B型肝炎ワクチンは、早ければ二〇一六年度から定期接種化される予定で、対象はゼロ歳児となる見込みだ。

菅谷明則さん


 一〇年に小児を対象に始まった肺炎球菌ワクチンも要チェック。一三年四月から定期接種となり、当初は九十種類以上ある肺炎球菌の型のうち七種類が入ったワクチンを使用していたが、同年十一月から十三種類を含むワクチンに変更された。現在、新しいタイプのワクチンを接種していないと予防できない型による感染が最多となっており、従来型のワクチンを四回受け終わった六歳未満の子は、任意接種として現行のワクチンを一回接種することが勧められる。

 ただし、任意接種は原則自費。数千円、数万円単位で費用がかかるため、接種を迷う親もいる。菅谷さんは「費用の問題は大きな壁。海外では定期接種年齢を過ぎても、公費で接種できる国もある。日本でも成人を含めた全ての接種に、財政的な裏付けが必要」と苦言を呈する。

 長崎大医学部小児科の森内浩幸教授は「『注射ばかりでかわいそう』という親もいるが、正しく理解して、子どもの健康を守ってほしい」と呼び掛ける。

 日本小児科学会や、「VPDを知って、子どもを守ろうの会」が推奨する予防接種のスケジュールは、各ホームページから確認できる。予防接種による副作用など個別の疑問点は、かかりつけの小児科医に相談したい。

 (砂本紅年)



引用元:
幼児の予防接種忘れずに 種類や回数増え、要チェック (中日新聞)