「ジョブリターン」制度を導入する企業がここ数年、増えている。子育てや親の介護などを理由にいったん退職した社員を再雇用する制度で、子育てに一区切りついた女性らが再び正社員で働ける可能性が大きくなり、企業にとっても経験者を確保できるメリットがあるという。(磯野大悟)

 「子どもが物心つくまで育児に集中したかった」。長男の出産を機に2009年1月退職した第三銀行大矢知支店(四日市市)の中村有起さん(39)は、育児休暇制度ではなく、ジョブリターン制度を選び、制度の期限である5年を迎え、昨年1月に復職した。

 入行後約10年間、三つの支店で住宅ローンなどの貸し付け業務を担当してきたが、職場を離れてからは家事と育児に専念した。夫の転勤で引っ越しをし、長女も出産。「職場とは違う忙しさ、戸惑いがあったけれど、充実していた」と振り返る。

 復職後は預金事務などを担当。最近、ようやく仕事の勘も戻ってきたといい、「子育てを通じ、色々な人に助けられた。その経験が接客にも生きていると思う」と笑顔を見せる。

 同行は、女性行員の能力を生かすための活動を展開しており、ジョブリターン制度も08年に導入した。子育てや介護、配偶者の転居などを理由に退職する行員が復職を希望する場合、登録してもらい、再雇用する。復職1年目は嘱託行員とし、その後、正規雇用する。資格などは退職時の水準が引き継がれる仕組みで、これまでに中村さんら2人が利用し、現在約120人が登録している。

 同行人事総務部では「これまでは退職せざるを得ないケースでも、生活が落ち着いた頃に復帰できる環境があれば、キャリアを生かせる」と説明。復職するまでの期間を弾力的に運用するなど条件の緩和も検討中という。

 同じ四日市市内では、食品分析機関「食品分析開発センターSUNATEC」も、09年2月にジョブリターン制度を導入した。勤続5年以上で離職期間が6年以内なら再雇用する制度で、これまでに女性1人が利用、1年半後に復職した。現在12人が登録しており、小林政人本部長は「専門性が問われる職場なので、再雇用により即戦力を確保できる」と話す。

 育児・介護休業法では、出産や介護などを理由に退職する社員らが復職を希望する場合、事業主が再雇用などの措置を取る努力義務を定めている。厚生労働省の11年度の調査によると、こうした再雇用制度のある事業所は53%で、08年度の30%から大幅に増加している。



引用元:
ジョブリターン拡大 元社員、再雇用で即戦力 (YOMIURI ONLINE)