Q スーパーで食品を触りまくる男の子を軽く注意しました。するとその後、母親らしき人が、「触っていたら、またおばちゃんに怒られるよ!」と言って子供を叱っていました。触ったらダメなのは私が怒るから?

 A よその子供にちょっと注意をしただけで、「ほら、怖いおっちゃんが来た!」「あ、あのおばちゃんが怒ってる」などといわれ、不愉快になったという話をよく聞きます。あなたも体験されたわけですね。「私は別に怒っていない。どうしてきちんと叱れないのか」とおっしゃるのはよく分かります。でも、私はそのお母さんの気持ちもよく分かります。

 子供はなかなか母親の言うことを聞きません。「やめなさい」と何度言ってもやめない、なんていうのは日常茶飯事です。しかし、全然知らない人から叱られると子供はよく言うことを聞きます。母親が何度言ってもやめなかった子供も、たまたま通りかかった人が「やめなさい!」というと一度でやめます。それを母親は知っています。

だから私は、お母さんがそう言って子供を叱っているときは、「あ、奥の手を使ったな」「何度言ってもやめないんだな」と思うようにしています。

 「誰かが怒るからではない」という意見もごもっともですが、実は同じような方法を大人同士でもよく使っています。

 会社でコピーを無駄に取る人がいたら「そんなに取ったらまた部長に言われるよ」。友人が赤信号で渡っていたら「おまわりさんに怒られるよ」。子供には「早く帰らないとお母さんに叱られるよ」。部長、おまわりさん、お母さんが聞いたらきっと怒ります。「それがダメなのは私が怒るから?」と。

 人は、自分が直接言っても聞きそうにない人には、ついそう言ってしまうのです。これからも、もしそういう場面に出合ったなら、「何度言っても聞かないんだな。子育てって大変だな」と、寛大な気持ちで見てあげてほしいとも思うのです。

(こどもコンサルタント 原坂一郎)


引用元:
よその子供を注意したら、“悪者”扱いされたのですが…(産経新聞)