30歳過ぎで妊娠した時に、主治医から「羊水検査」を受けることを打診されました。いわゆる高齢初産でダウン症の確率が高くなるためです。
その時思った事はもし、染色体に異常がある「陽性」という結果だったら中絶を選ぶのか。
答えはNOでした。

ありがたい事に自然に妊娠出来たわけだし、せっかくの「命」をこちらの勝手な判断で「絶つ」事は考えられない。
検査結果がどちらであったとしても出産するのだから、検査は不要と決めました。結果、 帝王切開で出産しましたが、子どもは健康で生まれてきてくれました。

「命」は「授かりもの」という言葉があるように数多くの「偶然」が重なり、一つの個体となる。
子孫が途絶えないように自然の摂理で。
科学技術が(進化ではなく)変化して 「命の誕生」も「技術」で出来るようになった今、何でも出来るのだという錯覚にとらわれる事なく、畏敬の念を忘れてはいけないと思います。

幸いにも私はたまたま自然に妊娠、出産できたので 長い時間不妊で悩んでいる人の本当の辛さは解っていないのでしょう。
先天性の遺伝病で悩む方には 受精卵診断も有意義と思います。
ただ、命は限りあるもの、人の力の及ばぬ「力」がある事をいつも忘れてはいけないと思います。


引用元:
人の力の及ばぬ「力」がある事、忘れてはいけない(朝日新聞)