出産経験のある女性が後に2型糖尿病になるリスクについて、10年以上の長期に渡り調査が行われた。その結果、妊娠糖尿病の病歴がある人では、2型糖尿病になるリスクが高いと分かった。また、このリスクは、生活改善により低減され、さらに妊娠糖尿病の病歴がある人では、糖尿病の薬「メトホルミン」の服用でも低減されると分かった。

 米国のメッドスターヘルスリサーチ研究所の研究グループが、ホルモン関係の国際誌であるジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム誌で2015年2月23日に報告した。

妊娠糖尿病から「2型糖尿病」
 血糖値が正常範囲を超えてしまう「糖尿病」は、主に自分の体の防御システムである免疫系の異常によるとされている「1型糖尿病」と、主に生活習慣が原因とされている「2型糖尿病」の2種類がよく知られている。それ以外に、妊娠中の女性に起こる「妊娠糖尿病(GDM)」がある。

 妊娠糖尿病は、妊娠中期の発症が多く、妊婦の1割弱で見られる。その原因は、ホルモンバランスの変化だ。妊娠糖尿病になった女性は、数年後に2型糖尿病になるリスクが高いと知られている。

 1996年から2001年にかけて、米国では「糖尿病予防プログラム(DPP)」という研究が行われた。これは、生活改善と、糖尿病の薬「メトホルミン」を飲んで血糖値を下げるのと、どちらが糖尿病の発症や予防に有効かを調べた研究だ。

 この中で、妊娠糖尿病の病歴がある女性についても研究が行われ、生活改善とメトホルミンに、糖尿病の発症を遅らせたり予防したりする効果があると結論づけられた。ただし、5年間のプログラム期間内での結論だ。

出産経験者を長期にわたり追跡調査
 今回研究グループは、全米27カ所の医療施設で糖尿病予防プログラムに参加した女性を10年以上にわたり追跡調査し、生活改善やメトホルミンが長期的に糖尿病予防に効果的かどうかを検証した。

 対象者は、妊娠糖尿病の病歴がある350人、および、出産経験はあるが妊娠糖尿病の病歴がない1416人。全員、プログラムに参加した時点で、肥満の指標であるBMI値が高く、空腹時血糖も高い値を示していた。また、糖尿病を判定する「グルコース負荷試験」で、血糖値が糖尿病と正常の間の「糖尿病予備軍」だった。

 これらの対象者は、3つのグループに分けられ、それぞれ(1)生活改善(2)メトホルミン服用(3)ニセ薬服用(プラセボ)を10年以上継続した。

生活改善が良く、妊娠糖尿病なら薬も良い
 この長期にわたる調査の結果、ニセ薬を服用し続けた場合、妊娠糖尿病の病歴があるグループはないグループに比べ、その後の糖尿病リスクが高く、約1.5倍となっていた。

 妊娠糖尿病の病歴がある人たちの中で見ると、ニセ薬に比べて、生活改善では35%、メトホルミンでは40%、その後の糖尿病リスクが低下していた。

 また、妊娠糖尿病の病歴がない人たちでは、生活改善では30%その後の糖尿病リスクが低下していたが、メトホルミンは影響していなかった。

 妊娠糖尿病の経験がある人は、日頃から、より一層健康的な生活を心がけておくのが良いかもしれない。



引用元:
妊娠糖尿病になった人とならなかった人、その後の糖尿病予防は「生活改善」?「薬」? (Medエッジ)