日本産科婦人科学会は28日、理事会を開き、不妊患者を対象に広く受精卵の染色体を調べ、異常がないものだけを子宮に戻す「着床前スクリーニング」の臨床研究について、最終案を正式に承認した。不妊に苦しむ患者の期待を代弁する産婦人科医と、自身が選別対象となる先天的な病気をもつ小児科医に話を聞いた。(医療部・利根川昌紀、編集委員・鈴木あづさ)
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学会が臨床研究承認
体外受精は、女性の体内から採取した卵子に精子を受精させ、できた受精卵を子宮に戻す不妊治療の技術だ。英国で1978年、世界初の体外受精児ルイーズ・ブラウンさんが誕生、「試験管ベビー」として世界的な話題になった。
国内では83年、東北大の研究グループが初めて体外受精による赤ちゃん誕生に成功。2012年までに約34万人が体外受精で生まれている。
受精しやすい日に合わせるタイミング法や、精子を子宮に注入する人工授精などでも妊娠しない場合の選択肢として、体外受精は今では一般的な治療となっている。
体外受精でできた受精卵を調べて、正常なものを子宮に戻すのが、今議論になっている着床前スクリーニングなどの技術だ。
日本産科婦人科学会は98年、重い遺伝病を抱える場合に限り、受精卵を検査する「着床前診断」を会告で認めた。04年、慶応大からの申請に対し、国内で初めての実施を承認。06年には特定の染色体異常が原因で流産を繰り返す人も対象に加え、これまで370例を承認している。
対象を極めて限定して受精卵検査を行ってきた日本と対照的に、米国や英国などでは、広く不妊患者を対象にした着床前スクリーニングがすでに行われている。すべての遺伝情報を調べる新しい検査技術も導入されつつある。
日本は会告で禁じているが、12年、神戸市のクリニックで行っていたことが発覚。晩婚化などで不妊や流産を繰り返す女性が増えていることも踏まえ、今回、着床前スクリーニングが流産予防や出産率の向上につながるかどうか、科学的に調べる臨床研究を行うことを決めた。
明治学院大の柘植あづみ教授(医療人類学)は「この技術が本格導入された場合、習慣流産などを避ける目的以外の『選別』が行われてしまったという事態が起きないように、ルール作りや倫理面の研修などを充実させていく必要がある」と話している。
(2015年3月9日 読売新聞)
引用元:
着床前検査、期待と懸念(1)従来は対象限定、晩婚化不妊増える (yomi Dr.)