音楽は私たちの心を癒したり、心地よい眠りへと誘ってくれるのと同様に、幼い子供にも様々な影響を及ぼすことがわかっています。最近では、カナダの大学の研究チームが、乳幼児期の音楽学習は脳の発達に好影響を与えると発表し注目を集めています。今回は、音楽が赤ちゃんの発育に与える効果ついて、最新の研究結果を交えてご紹介します。

アメリカの病院で広まる音楽セラピー

米国小児科学会が発刊する学術ジャーナル『Pediatrics』は、ライブ音楽が未熟児や重篤疾患のある乳児に好影響を与えるという興味深い研究結果を紹介しています。近年、アメリカではNICU(新生児特定集中治療室)で音楽セラピーを提供する病院が増えており、患者に生の音楽を聴かせる治療法が注目を集めています。

音楽の生演奏は、赤ちゃんが音の振動を感じたり、演奏をしている様子を見ることができる点で、録音された音楽よりも大きな効果が期待できるそうです。NICUに入院している赤ちゃんの多くは虚弱で、家族が赤ちゃんに触れることを怖がることも少なくない中、音楽セラピーを通じて家族と赤ちゃんの絆が深まるケースが多々あるそうです。音楽セラピーを実施している病院に子供を入院させているあるママは、「音楽は息子をリラックスさせる効果があり、音楽を聴くことでよく眠ってくれます。その様子を見ていると、時々涙がこぼれます。」と言います。

音楽は赤ちゃんを賢くする?

かつて「モーツァルト効果」という言葉が流行り、クラシック音楽には子供を賢くする効果があると宣伝されたことがありますが、残念ながら最新の研究ではこの効果は否定されています。クラシックなどジャンルを問わず、音楽を聴くだけで賢くなることはありません。元々は、テストを受ける前の子供にモーツァルトのピアノソナタを聴かせたところ効果が見られたことが拡大解釈され、クラシック音楽は赤ちゃんを賢くするという誤った考えが広まったものです。

しかし、赤ちゃんのうちから音楽を学ぶことは脳の発育に効果があるようです。実験を行ったカナダのマックマスター大学によると、まだ歩いたり話すことができない赤ちゃんに音楽学習を施したところ、発育に大きな進歩が見られたということです。

この実験は、発育レベルが同程度の赤ちゃんを2つのグループに分け、親も参加して行われました。1つ目のグループは、親子が童謡に振付けをつけて歌って踊ったほか、パーカッションなど楽器の演奏を学びました。2つ目のグループは、部屋の中に録音された音楽が流れる中、親子が様々な玩具で遊びました。
その後、両グループの赤ちゃんにピアノで楽曲を譜面通りに弾いた場合と、音程をわざと外して弾いた場合と2つのパターンを聴かせたところ、1つ目のグループは譜面通りの演奏を好み、音程に対する反応を見せたそうです。一方、2つ目のグループにはこのような反応は見られなかったそうです。この実験によって、能動的に音楽に接した赤ちゃんと、受動的に接した赤ちゃんとでは、音楽に対する脳の反応が異なることが示されました。

また、2つのグループの違いは音楽の範囲に留まらなかったそうです。1つ目のグループは手の届かない距離にある物体を指さしたり、手を振ってバイバイをするなど、2つ目のグループに比べて高いコミュニケーション能力を見せたそうです。この他にも、1つ目のグループは良く笑ったり、物事が思い通りにいかなくてもいらだちを見せないなど、社会的能力の高さも見せたということです。

子供に音楽を聴かせる最適な方法は?

ブリガムヤング大学のプラット教授は、「子供に音楽を聴かせることは、成長の種を蒔いているようなもの」と述べており、子供の生活に音楽を根付かせることを推奨しています。同教授は、テレビの代わりにステレオや楽器を生活の中心に据えることを勧めています。

子供に音楽を聴かせる効果的な方法の1つは、睡眠前にお決まりの楽曲を聴かせることだと専門家は言います。毎日同じ音楽を部屋を暗くして流すことで、子供は一日が終わったことを理解するようになります。しかし、子供が寝付くまで音楽を流しっ放しにすることは避けるべきだと心理学者のミンデル氏は言います。この方法だと、音楽が終わってしまうと子供が目を覚まし、音楽が流れていないと眠れなくなってしまう可能性があるからだそうです。ミンデル氏によると、何曲か流したあと、子供が寝付く前にステレオの電源を切るのが効果的だそうです。もちろん、CDに頼る必要はなく、ママやパパが歌ってあげるのも効果的です。

幼児はどんな曲を好むの?

専門家によると、幼児は心地の良い調和のとれた音楽を好むそうです。激しいロックやラップなどは避けた方がいいかもしれませんが、それ以外であればとくに気を使う必要はなく、ママ・パパの好みの曲を聴かせて赤ちゃんも喜ぶようであれば、それがベストな選択と言えるでしょう。



引用元:
赤ちゃんと音楽