森三中の大島美幸さん、元プロテニスプレイヤーの杉山愛さんと、次々と、不妊治療で妊娠し、安定期に入ったことが報道されました。
報道を見て、祝福の気持ちで嬉しく思った人や、うらやましかったり、焦りを感じた人、励まされた人など、感想はさまざまかと思いますが、今、同じように妊活に励んでいるカップルがとても増えてきています。高齢出産が増えた背景などもあり、不妊治療をしているカップルも珍しくない時代になりました。
ここでは、不妊治療最新情報として、日本の少子化事情についてみてみましょう。

◆不妊治療は増えている
2004年から不妊治療に対する公的な費用の補助が始まって、不妊治療の助成を受けて、何らかの治療を受けている人は年々増加しています。実際に、体外受精によって産まれた子の数も増えてきています。
最新のデータによると、2004年は18,168人だったのが、2010年には28,945人となっています。出生割合でいうと、総出生数全体の2.70%で、37人に1人が、体外受精治療を受けて産まれた子です。


◆日本の人口は減少の一途を辿る
不妊治療が制度として取り組まれている背景には、不妊の問題が、単にこれに悩むカップルだけの問題ではなくなってきているからでしょう。新たに産まれる子どもの数が減っていくということは、人口が減っていくということですし、国にとって危機的な状況だからです。
人口の減少については、厚生労働省より驚くべき数値が出されています。人口の動態を見る「将来推計人口」によりますと、日本の人口は33年後の2048年にはなんと、1億人をきって、9913万人となり、50年後の2060年にはさらに少なく、8674万人になるといわれています。


◆合計特殊出生率の地域格差に注目
女性がどれだけ子どもを生むかは、「合計特殊出生率」という数値で表されますが、2012年は1.41、2013年は1.43と、微増という傾向です。
合計特殊出生率には地域格差が激しくあります。2012年の調査によると、全国平均の1.41という数値を上回る地域は、47都道府県中32県、下回る地域が13県です。
最高の沖縄県で1.90、最低値で1.09と、その差は2倍近くあります。ですから、全国的には微増傾向だといっても、地域による格差もあり、しかも、人口動態は大幅な減少傾向だということを鑑みると、日本全体として、まだまだ「好転した」とは言えない状況ではないでしょうか。


◆女性たちの意識「苦労して産むけど、安心して産めるわけではない」
一方、出産に対する意識調査でも、女性は、若い年代ほど、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という理由で、理想の子の数に実際の子の数が達しないのが現状です。
ですから、不妊治療で出生率が上がったとしても、子育ての環境や、仕事との両立、家庭の経済面などさまざまに要因が絡んでいて、すぐに少子化に歯止めがかかるわけではありません。
「苦労して産むけれど、安心して産めるわけではない」という少子化問題の複雑さを抱えながら、日夜、不妊治療に奮闘している女性たちがいるということです。
女性は加齢によって妊孕性(妊娠力)が落ちます。ですから、若い時から妊娠・出産を計画することが大切です。
けれども、現在の少子化状況は、「産んでも大丈夫だろうか」という心配を女性たちに与えています。自然妊娠でもそうですから、不妊治療の場合は、妊娠の困難さに加えて、出産後の育児の難しさも抱えて、出産に取り組むことを余儀なくされています。



引用元:
「苦労して産むけど、安心して産めるわけではない」日本の少子化の現状とは?ヘルス(Mocosuku Woman)