県立中央病院(笠間市)が10年ぶりに産科を再開する。大学病院から派遣される医師が減って休止を余儀なくされていた。県内で産科や産婦人科のある病院は年々減少しており、県は「安心して出産できる医療態勢の確保に貢献できる」と期待している。

 4月1日から外来を始める。まずは、妊娠しているかの確定診断と、その後の経過を診る業務に絞って診療をする。今年の秋口に出産を迎える人が対象となる見込みで、分娩(ぶんべん)できる態勢が整うのは年末になる見通しだ。

 県立中央病院が産科を休止したのは2005年4月。前年に医師の新しい臨床研究制度が始まって、大学から派遣されていた医師が引きあげてしまい、産婦人科の医師は4人から2人に減ったためだ。

 それまで大学の医局の指示で派遣先が決まっていたが、本人の希望が優先されるようになった。その結果、都市部に研修医が集中するようになった。医師不足に加え、医師の高齢化も重なって、分娩の休止や件数制限をする医療機関が増える傾向にある。厚生労働省のまとめによると、県内で産科や産婦人科を標榜(ひょうぼう)する病院は02年には37病院あったものの、減少傾向が続いて11年には29病院に減った。

 県立中央病院は08年、県内のがん治療の中心的な役割を担う「がん診療連携拠点病院」に指定された。卵巣がんや子宮がんなどの婦人科がんの治療態勢は手薄だったため、県は筑波大学との連携を強化し、医師を派遣してもらうようになった。産婦人科の医師数は年々増え、昨年9月で7人になった。新年度には、さらにもう1人増える予定だという。再開されれば助産師の研修にも活用できる。


引用元:
茨城)県立中央病院が産科再開へ 医師増え来月から外来(朝日新聞)