寒く、雪も多く感じた冬もようやく春めいてきた。インフルエンザの流行は一段落したが、冬は「ウイルス性胃腸炎」が流行する季節でもある。下痢や嘔吐(おうと)など胃腸炎の症状を起こすウイルスはたくさんあるが、「ノロウイルス」と「ロタウイルス」が代表的だ。
 ウイルス性胃腸炎は口からウイルスが入り、1〜3日潜伏したあと、突然、嘔吐や腹痛、下痢、けいれんなどの症状が出る病気だ。ウイルスは患者の嘔吐物や便に潜み、便には感染してから2〜3週間もの長期間にわたり含まれる。
 ごく少量のウイルスが口から入っただけで発症するので、便の処理や消毒をきちんと行わなければならない。アルコール消毒は効果がないため、次亜塩素酸で消毒する。せっけんで十分に手を洗い、患者とタオルを共有しないなど、ウイルスが体に入らないように日ごろから注意する必要がある。
 11月から3月まで流行するノロウイルスは、食中毒や高齢者が死亡する事例で話題になることが多いが、小児ではロタウイルスが重い胃腸炎を引き起こす。
 ロタウイルス胃腸炎は2月から5月にかけて流行し、国内で年間80万人余りが発症する。脱水症状などで15人に1人は入院すると言われている。まれに、小腸が大腸にめり込んで腸閉塞(へいそく)を起こす「腸重積」や脳炎など、重い合併症を引き起こすこともある。
 衛生、医療環境がいい日本では、死者数は年間10人程度だが、アジアやアフリカの発展途上国では、2008年に5歳未満の子ども45万人が死亡したと推定されている。
 嘔吐や下痢が続くと、体から水分とともに大量の塩分が失われる。このため患者には、水分とともに塩分の補給が欠かせない。塩分濃度の高いイオン飲料やみそ汁、スープなどで塩分の補給はできる。刺激の強い食べ物や油分の多い食べ物は控えた方が良い。
 いったん感染してしまうと、根本的な治療法はない。だが、感染を未然に防ぐ予防接種がある。注射ではなく口から飲むタイプの「経口ワクチン」で、症状の重症化を約90%防げるとされている。
 国内では接種するかどうかは任意のため、費用は自己負担だ。英国では、13年にすべての乳児への無料接種を開始し、翌年には流行がなくなってしまうほどの効果が得られたという。国内でもロタワクチンが定期接種化され、感染する子どもたちが減ることを願っている。




引用元:
ロタウイルス、予防接種が有効(朝日新聞‎)