兵庫県伊丹市の観梅の名所「緑ケ丘公園」の梅林の一部に、果樹の病気「プラムポックスウイルス」(PPV)の感染がみつかり、市は3月9日以降に約400本の梅の木をすべて伐採すると決めた。公園には連日、最後の花を惜しむ人たちが訪れている。

 市によると、緑ケ丘公園の梅林は1982年に造成。5600平方メートルの丘陵地に、樹齢35年前後の50種類の梅が植わっている。このうち2本から、昨年10月にPPVが検出された。

 PPVは梅や桃、スモモなどの果樹にアブラムシや接ぎ木を介して感染。葉に輪状の模様ができたり、花に斑点が出たりする。鑑賞用として商品価値が損なわれ、モモ、スモモは成熟前の実が落果するおそれもある。ただ、感染した実を食べても人体に影響はない。

 農林水産省によると、国内では2009年4月に東京都青梅市で初めて感染がみつかった。県内では12年7月に伊丹市内から出荷した苗木の感染を確認。同省は伊丹市のほぼ全域と宝塚、尼崎、川西の3市の一部を「緊急防除区域」に指定した。

 14年度の調査(速報値)では、感染樹は伊丹市の96カ所160本、宝塚市の37カ所94本、川西市の10カ所11本、尼崎市の3カ所6本、西宮市の2カ所2本に広がり、昨年末、防除区域を一部拡大した。

 予防薬はなく、感染拡大を防ぐにはアブラムシが移動する距離の半径500メートル以内の木を切るしかない。潜伏期間が約3年あり、感染樹が確認されなくなっても3年間は苗木などを区域外に出荷できない。「早く終息させるためには、ある程度広い範囲で、すべて伐採するしかない」(農水省)という。


引用元:
伊丹の梅林、ウイルス感染 全400本伐採へ(朝日新聞)