妊娠中の女性労働者の16.6%が、1日8時間の法定労働時間を超えて9時間以上働いていることが、連合の調査で分かった。正社員では4人に1人に上り、少子化が進む中で、妊娠した女性が安心して働ける環境が整っていない実態が浮かんだ。

 働きながら妊娠を経験したことがある女性の正社員、派遣社員ら計1000人から回答を得た。妊娠中の1日の労働時間は、全体で8時間が最多の43.7%だったが、9時間(7.7%)、10時間(5.5%)など9時間以上も16.6%に上った。正社員に限ると26.2%。妊娠時のトラブルで早産になった人の24.6%、流産した人の20%が9時間以上働いた人だった。

 妊娠時に不利益な扱いや嫌がらせを受けた人は20.9%に上り、正社員では24.4%、派遣社員で22%だった。内容は、正社員では「言葉による嫌がらせ」(13.3%)、派遣社員では「解雇・雇い止め」(13.6%)が多かった。

 妊娠後に仕事を辞めた人は61.2%。理由(複数回答)は「家事・育児に専念するため」(55.2%)がトップだったが、「仕事を続けたかった」としながら辞めたとの回答も45%を超え、「仕事と育児の両立が難しい」「職場では安心して出産まで過ごせない」が理由に挙がった。

 マタニティーハラスメント問題に詳しい圷(あくつ)由美子弁護士は「男女雇用機会均等法で勤務時間の短縮や不利益取り扱いの禁止が定められているが、女性を守り切れていない現実が表れている」と話している。【東海林智】

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引用元:
妊娠中の労働者:「9時間以上」16%…早産リスク懸念(毎日新聞)