卒園時までには、たし、ひき、かけ算をこなし、絵本の創作もできる。運動では、逆立ちで歩き、自分の背の高さの跳び箱も跳ぶ。そんな卓越した園児を育てる「ヨコミネ式」教育法を、福井市の「福井エンゼル幼稚園」と「暁幼稚園」を運営する学校法人が市内で唯一、採り入れている。子どもの特性を見極めた独自の学習法が、保護者たちから注目されている。

 今月上旬。福井エンゼル幼稚園で、体操参観があった。年長の園児全員が、先生の笛に合わせ、ブリッジをしながら移動したり、片手で側転したり。体操選手のような動きを次々と披露し、見に来た保護者から驚きの声が上がった。

 学校法人が昨年度採り入れたのが、プロゴルファーの横峯さくらさんの伯父で、保育園などの理事長を務める横峯吉文さんが考案した「ヨコミネ式」の教育法だ。テレビなどに取り上げられ、全国の幼稚園と保育園が導入している。

 重視するのは、横峯さんが考える子どもの特性だ。「競争したがる」「まねしたがる」「ちょっとだけ難しいことをしたがる」「認められたがる」の四つを、大人が刺激してあげることで子どもは伸びていくという。

 方法も独特で、字の習得は、「一」「ノ」など子どもにとって書きやすい字から始め、ひらがなであっても「あ」や「む」は最後に学ぶ。体操も柔軟から始まり、ブリッジ、壁を使った倒立というふうに、少しずつ難しい動きに挑んでいく。

 福井エンゼル幼稚園ではヨコミネ式の導入が口コミなどで広がり、今春の入園希望者が急増して、すぐに応募を締め切るほどだった。願書の志望理由には、ヨコミネ式の導入を挙げる保護者が多かったという。

 年長の野路花ちゃん(6)の母親、明子さん(38)は「倒立ができるようになるなんて思わなかった。何事にも、自分が納得するまで挑戦するようになった」と言う。中沢信順園長は「大人が子どもの限界を決めないのが、ヨコミネ式の良さ。困難を少しずつ乗り越えていく『生きる力』を育みたい」と話している。(山田理恵)



引用元:
福井)限界決めない「ヨコミネ式」 導入の幼稚園が人気(朝日新聞)