横須賀市は、妊娠期から子育て期にわたる包括的支援事業を始める。市役所内に、新たに母子保健コーディネーター1人を配置し、相談のワンストップ化を図る。さらに市内2カ所の助産院と市立市民病院の院内助産を拠点に、母子の健康や育児に関する相談に応じる産後ケアサービスを行い、妊産婦らの負担を軽減する。


 市が2015年度当初予算案の最重点施策に位置付ける子育て・教育環境の充実の一環で、284万円を計上した。


 市はすでに、妊産婦らを対象に家事や育児を手伝う出張の「子育て支援ヘルパー」や、保健師、助産師が各家庭を訪ね、子育て相談に応じる「こんにちは赤ちゃん訪問」など支援サービスを続けている。


 新規事業では、出産した医療機関などを退院後、母親が助産院で母子の心身のケアや育児サポートなどを受けられる産後ケアサービスを提供、利用料を一部助成する。


 利用者の窓口となる市こども健康課に、新たに母子保健コーディネーター1人を置き、産後ケアの助産院を紹介するほか、市内4カ所にある健康福祉センターと連携し、全ての妊産婦の状況を継続的に把握していく。


 例えば、母子健康手帳交付時に記入するアンケートで「産後の子育て支援体制に不安がある」といった声があれば、市から積極的に連絡する。


 同課は「(妊産婦の)実家が遠かったり、夫が出張中でいなかったり、親が高齢で支援を頼めなかったりして、妊娠中から不安を抱えている家庭は少なからずある」と指摘。心身ともに消耗した出産後も、すぐ育児に取りかからなくてはならず、退院後に周囲の協力を得られにくい環境では不安も募るという。助産院では子どもの面倒を見てもらえ、母親へは育児指導も行う。同課は「母親は体を休めながら、育児の自信をつけていくことができる」と話す。


 さらに、妊産婦の負担が軽減されることで、子どもへの虐待や育児放棄を未然に防ぐ効果も期待する。


 市議会2月定例会で可決されれば、産後ケア事業は10月から本格開始する予定。関連した情報提供などは4月から始める。



引用元:
横須賀 母子心身に安心を 周産期ケア事業開始へ(カナロコ(神奈川新聞)‎)